日韓演劇週間 Vol.4 公演情報 ストアハウス「日韓演劇週間 Vol.4」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    更なる進化を期待
     和合氏の詩をベースに構成された作品

    ネタバレBOX

    詩的言語の持つ宇宙的、極私的また深い思惟性と、核推進派のウンザリするほどの嘘・プロパガンダを役者の身体に落とし込み、具象化し、身体のムーブメントとしてまたフォルムとして上演することを目指した。
     言葉の力を引き出す為に独自に考えられた手法は、遊戯空間の仕事の二つの柱、即ち古典の蘇生と和合氏の詩作(現代語)の舞台化の為の一方の柱である。未だ内向きであるとはいえ、毎回進化し続ける演出の妙を今後とも注目したい。
     何よりF1人災被災者たちの苦悩を群像劇として表現した点が良い。放射性核種による被害は、五感に感知されないままやってくる。即ちその被害は、ある特定のエリアに限定されるものではなく、空気の流れにより、海流により、其処に居る総ての生き物の体内濃縮により、いつでもどこでも、食物までもが汚染されたまま、気付かれずに広がることを表していると言える。(生物による圧縮の結果は食物連鎖の上位にある者ほど影響を受ける)
     和合氏の詩作が、一躍有名になったのは、F1人災以降である。(無論、演出の篠本氏と和合氏の邂逅はこれより遥かに早い)彼の詩には、福島の現実を為政者、それに肩入れする経産省及び文科省官僚と嘘をまき散らすマスゴミ、これらの嘘・プロパガンダを信じ込んで拡散する愚衆。その愚衆のパーセンテージが増すほど視聴率に惑わされてポピュリズム礼賛に流れるTVの俗物報道への表現する者としての向き合い方がある。
     能を長くやってきた篠本氏の表現は“秘すれば花なり云々”の方法論を用いる点があり、やや内向きである。然しながら花伝書の教えは極めて戦闘的な状況における身の処し方を記したものであると考える自分には、西洋流の観た物・事を真正面から扱い対応しようとする姿勢との格闘の中でこそ、この方法を用いて欲しいのである。

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    2016/11/28 15:05

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