風車〜かざぐるま〜 公演情報 ものづくり計画「風車〜かざぐるま〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ふるさと三部作...完結篇面白かった!
    瀬戸内海にある島...碧島(あおいじま)における過疎・活性化対策を面白可笑しく描いた物語。あくまで島民目線で見た場合で、移住してこようとする人々の気持は見えてこない。双方の視点から、それぞれの「不都合な事実」を描くという点では、納得性が弱いような気もする。それでも過疎化に悩む姿を痛々しくも滑稽に描き出す。
    中盤までは誤魔化しとその綻びを繕うような緩いコメディタッチであるが、終盤に向けては、過疎化になった原因、現状、今後どうするかという展望までを一気に語る。
    (上演時間2時間強 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、廃屋に近い公民館の講堂らしき場所。その舞台(壇)上の中央壁面に島民をイメージした漫画絵(ポップ調)がある。上手側に自転車、下手側にBOX、そこにサッカーボール、扇風機、酒瓶が置かれている。また2階へ通じる階段が見える。
    この絵に描かれている人物、風景...青い海・太陽が明るく生き生きとしている。そのタッチは優しく、ラストシーンでその絵に照明が当てられ印象強い。その余韻演出は心憎いばかりである。

    梗概...離島への移住希望者への説明会。少しでも島民が多くいる、そして島の印象を良くしようと知恵を絞る。その結果、主人公・祝広貴(池田努サン)の父・恒邦(雑賀克郎サン)が亡くなったことにし、その葬儀に託けて島を離れた者を呼び戻す。ウソの情報を流し、帰島した人々が久しぶりの再会を果たす。しかしウソがばれてドタバタ騒動が...。

    前半は先の嘘を誤魔化すための緩いコメディタッチであるが、後半はなぜ深刻な過疎化が進んだのか、故郷の存続の危機に晒されることになったのかが明らかになる。そして主人公・広貴が父と喧嘩し島を離れたのか、その理由も明らかになる。島の活性化のため風力発電を誘致したが、その騒音・低周波は島民に悪影響を与えた。そんな時近くの島との合併話が持ち上がる。合併による交付金や原発誘致による経済活性化、一方吸収合併でメリットがなく原発危険と反対する島民、その争いが激化する。そして東日本大震災が発生し原発問題へ繋げる。

    多くの登場人物、しかし、それぞれのキャラクターは立ち上がり見事な群像劇に仕上がっていた。特に広島県・瀬戸内海という設定であり、方言での会話はその土地という臨場感を醸し出す。広島県は第二の故郷であり、多少のイントネーションの違いはあるが、懐かしさを覚えた。

    碧島(あおいじま)へ移住するかもしれない...そんな若夫婦は、今までの仕事のあり方を見直し、インターネットを通じた起業も模索。また広貴はNPO法人での業務経験を生かして新たな島の活性化に取り組もうとしている。ハッピーエンドという予定調和であるが、そこには故郷への想い、そして生活や労働形態への工夫によっては過疎化・高齢化対策が考えられる、という展望が見える。ここに未来を見据える生きるメッセージが込められていたようだ。
    本公演では娯楽施設もない、コンビニもないなど悲観的な説明もあったが、それでも、島は「人の心がよく聞こえる」と...。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/11/19 22:25

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