ala Collectionシリーズ『 向日葵の柩 』 公演情報 (公財)可児市文化芸術振興財団「ala Collectionシリーズ『 向日葵の柩 』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    美しいことばが奏でる濃厚な叙情
    美しいことばが散りばめられたモノローグの重なりが描き出す濃厚な叙情性に魅せられた。
    いつもどおりの金守珍節満載で、説明過剰で圧迫でべたな演出である。しかしときに観念的すぎるようにも思われる柳のこの作品の舞台化にあたっては、金演出のようなベタさは案外相性がよいのかもしれない。舞台美術がとても美しい。とりわけ最後の場面が鮮烈だ。

    ネタバレBOX

    役者は観客のほうに向かい朗々とモノローグを述べる。台詞にはしばしば紋切り型な音楽がかぶさり、情感を強引に盛り上げる。役者の表現も定型的でそんなに上手という感じはしない。しかし彼らが伝えることばの美しさと力強さに、こちらの心を揺さぶられずにはおられない。母を喪失し、ほとんど崩壊している家族のイメージにすがりつこうとする兄、妹、父の姿が、「韓国人」というもろいアイデンティティのすがりつつ精神の彷徨を強いられる在日韓国人の状況と重なる。自分の存在のよりどころがほとんど無化されているのを自覚しつつも、その虚像としてのよりどころにすがらずにはおられない人々の悲しみを、詩的なディアローグを重ねることで、象徴的に描いた美しく感動的な作品だった。

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    2008/12/14 11:08

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