パートタイムチィーチャー 公演情報 遊々団★ヴェール「パートタイムチィーチャー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    分かり易く楽しめる!
    勧善懲悪のような分かり易い物語のように思っていたが、終盤近くに公演テーマが浮き彫りになってくる秀作。少し遊び心が多いような気がするが、本筋を引き立たせていると思えば卑小なこと。
    タイトルから教師が主人公であることは明らかであるが、その職業に限らず、人の素の部分を描いている。この公演、教師と生徒などの登場人物だけではなく、観客である自分自身でも考えるところがあった。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは教室内。下手に教壇、それ以外は生徒の机・椅子、上手・下手側に出入り口扉。舞台億は高くなっているが、廊下という設定のようだ。役者の立ち位置、特に校長はその立場において上から目線をイメージさせる。
    登場人物は多いが、そのキャラを立ち上げ彩り豊かにしている。また演技のバランスもよくテンポも心地よい。

    梗概...教員採用試験に合格できない女教師・武田海未(川崎香織サン)が主人公である。そんな彼女が産休中の教師に代わり教壇に立つことになった。この学校は定時制を併設している私立学校、担当はその定時制で卒業まであと半年の4年1組の担任である。就任早々4人の転校生が転入してくるが、これは今後の展開の伏線である。定時制というシチュエーションは、学校(教室)というよりは、その在校生一人ひとりの境遇・経歴に焦点が当てられる。
    本公演もその王道的な観せ方を踏まえ...全日制と違い年齢や境遇の違いを面白可笑しく、時にしんみりと描き、物語に引き込んでいく。

    勧善懲悪における悪者と悪事に準(なぞら)えているのは、校長が定時制の廃止を企み、その原因・責任を新任教師のせいにしようとしていること。経営的な立場から定時制の悪イメージ(全日制の生徒への暴力行為)の払拭、少子化対策として進学校への転換を図ること。私立学校としての発想、そこで校長の立場が鮮明になる。しかし、校長である前に校長”先生”であり教育者であることを諭す者が現れ...。実は校長は定時制高校出身者で、苦労した教員人生だったことが明かされる。「定時制」の存在が苦労の出発点のような。

    この校長先生の表裏の意図は終盤近くに分かってくるが、それまでは教師と生徒が一丸となって定時制廃止反対(別の退学問題が契機)の示威行動。教育現場は生徒の教育だけではなく、教師にとっての成長の場でもある。問題が直面した時、その解決の糸口として自分はどうしたいのか、その本心に従って行動する。少し教訓めいているが教師に限らず人の生き様そのものではないだろうか。
    公演はドタバタコメディであるが、観終わってみれば清々しい気持にさせてくれる。
    そういえば、校長は新任教師を陥れようとしたり、生徒の弱みに付け込んでスパイ行為をさせているが...その責任はどうなったのだろうか。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/11/05 12:22

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