満足度★★
テーマは危機感、内容は…
”戦争反対”言い尽くされた感があるが、やはり言い続ける必要があるテーマであることに間違いない。
日本人の”平和呆け”も自分も含め反省の必要あり。これもおっしゃる通り!
しかし、しっくりこない。
上演終了したので書こうと思う。
イスラム国と広島を同一線で扱ったのが気持ち悪い。
戦争という広い定義では確かに同一線なのかもしれないが、イスラム国テロと太平洋戦争では勃発の性格が違う。
アメリカ主導という共通項に踏み込んで欲しいが、そういった内容ではなかったので仕方ない。
イスラム国=悪
という大前提が骨子のひとつになっているのが気持ち悪さの原因か?
ヤスミの家庭が母子家庭で、食事も買ってきた総菜を適当につまむという俗にいう愛情の薄い家庭に設定されているのは何故か?
家庭内の愛情と会話の無さがイスラム国への参加を決断させるのか??
この家庭描写も意味不明で気持ち悪い。
平和ボケしている日本の若者(本作では中学生)は主人公との対比上説明シーンが必要なのはわかるが、ダラダラ長すぎなのもどうかと思う。
上演時間を延ばしているだけの気がするし、刈り込んで100分くらいの作品にできていれば、もっと緊張感がある作品になった筈だ。
経済至上主義(民主主義と同意語になった)が引き起こす悲劇に対する警告が兄の現実逃避だけなのが軽薄すぎ。
もっと掘り下げるか、カットしてしまうかどちらかの選択が必要だった。
一番気持ち悪かったのは、少年の告白の後の教師の台詞
「みんなはどう思った?」
この第三者立場の言葉が稽古場でも議論されなかったのか???
この劇団に対する危機感を感じた。
被災者・被害者にたいしての「今のお気持ちは?」とマイクを向けるマスコミの間抜けさを揶揄したのか?教師の公務員化を揶揄したのか?
そうではあるまい。
言えた役者もすごい!!驚く。
演出に対して
こけおどしはやめるべきだ!真摯に向き合う技量がないのなら取り扱うべきではない。
客に銃口を向けるという行為は失礼だし、ロスコをあれだけ焚き続けるのはなぜか?…臭いんですよ。
こけおどし演出を選択するなら、この劇団が取り上げていたドキュメンタリー手法の作品カラーにするべきだったし、今回のようなタッチの脚本ではこの演出手法は稚拙すぎる。
最後に
とても好きな劇団なのに、今回は酷いと思った。
トラッシュ〇〇…という劇団が、台詞の押し付けでダメになりかけている今
この劇団も混迷を始めたのなら辛い。
ドキュメンタリー路線に回帰して子の題材に再度チャレンジしてみるのも悪くないかも知れませんが…それは発信者のほうの選択ですね。