四則演算 公演情報 sugarless「四則演算」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    想い、重い物語...面白い!
    人に危害を 加え、相手の気を 引いて、思いを 掛ける、そして友情を 割って...そんなことをして廻り回って心が満ち 足りるのだろうか。

    物語は雑然・殺伐とした空間、緊張・緊密な雰囲気、登場人物の息遣い...独特なセンスが汗のように迸(ほとばし)る。大人の色香を漂わせ、カプセル兵団とは違う、新たな魅力を開花させた主人公・彩(中山泰香サン)。その脇を固める役者陣の演技も確かで濃密な物語に仕上がっている。

    人によって好みが分かれるかもしれないが、この嫌悪感はけっこう好みである。脚本(物語)はわかり易く、むしろ公演の魅力は演出と演技がしっかり合って、迫力ある展開が見所であろう。

    少し気になるところも...。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、地下倉庫という設定で周りの壁際にダンボール箱が積み重ねてある。中央にソファーとテーブルが置かれ、上手側奥に柵のような扉がある。舞台と客席の間を鎖(上演前・後)で仕切る。

    梗概...突然地下倉庫に監禁された夫婦。なぜこのような目に遭うのか、その理由が判らない。戸惑う2人だが、この夫婦(特に夫人)の過去が明らかになるに従い、犯人・彩の心情が痛いほど解ってくる。彩は孤児院(希望の里)育ちで、卒院時に院の先生から両親の所在地を知らされる。その所在地には自称小説家の壊れた父がいた。母はそんな父を支えきれず、彩を置き別の男と結婚し、子・鈴夏(清水りさ子サン)まで産んで幸せに暮らしていた。その鈴夏と彩は偶然にも親友関係にあり、自分の不遇を嘆き、愛情が憎悪、復讐(監禁)へ向かう。

    その狂気がすさまじく迫力がある。自分を棄てた母、それでも愛情で心の隙間を満たしてほしい。表している嫌悪、その一方、心情は生き生きと輝き美しく観えてくる。求め ねじれた母娘のサスペンスは観応え十分であった。

    人は救いや希望がないことを受け入れた時、気持が楽になるという。絶望から立ち上がる微笑みのことをユーモアと呼ぶらしい。翻って本公演の緩いインプロはユーモアにはほど遠いような。序盤と終盤での印象(演出)落差がねらいであろうか。できれば、全編を「想い」と「重い」で一貫して描いてほしかった。たとえそれが嫌悪の極みであろうと...。

    最後に、カーテンコールの際、前説での禁止事項(場内飲食禁止など)を言い忘れたと説明していた。当日(20日)の昼間に千葉県北東部を中心に大きな地震があったが、危機管理の点から、留意事項はしっかりとお願いします。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/10/21 11:29

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