満足度★★
キャストのファンなら…
ボクラ団義の初演を観た者です。
前作Over Smileのときも思ったのですが、これ久保田唱演出とクレジットされてるの本当?名義貸しみたいなものじゃなくて?
この時期のボクラ団義の作品は怒涛の伏線回収劇というか、もうほんとにすべてのキャラクターの一挙手一投足に意味というか、物語上の「機能」があったんです。
その「機能」を理解しないまま台本通りにやってみた感じ。アテ書き的な部分も含めて。
NAOTOとDAICHIは最初っから完全にセットで扱われてるし。
バスケットボール選手、初演の竹石悟朗に比べてボールの扱いが明らかに下手。
物部と曉美(キャサリン)が戸籍上の夫婦になっている改変もよくわからなかった。
誰が演じるかに関係なく物部というキャラクターは結婚という関係を望む、あるいは受け入れるタイプとは思えないし、曉美も初演の終盤でのバカップルぶりから遡って物部に裏切られた(と感じて)自殺する展開にリアリティが見えてくるが、この二人が夫婦で、一般的な夫婦と同様に同居しているのであれば、家庭内で決着がついて自殺にまで至らない気がする。
笑いの要素も、何がおもしろいのか以前に、そこは笑いである、という「記号」が理解できていなさそうな場面が複数あった。
2012年の初演当時、前年まで首相であった菅直人の記憶が観客の中でも鮮明だったかもしれないが、今「カンナオト」と言われても。一事が万事こういった調子。
キャストの力量にもかなり差があるように思う。
物語を「ドライブできる」役者と、乗っかるのが精一杯の人がいる。
こういった事情に比べて衣装や小道具が変に派手なのがかえって「滑稽だと思わないか!」
個々のキャストを見ていくと光るものはたくさんあるので、作品そのものを楽しむよりもキャストを見に行くと思えば悪くない。悪くないが、わざわざこの作品を選んで再演した、そこで見る意味は見出せない。
これだったら広島大学演劇部が上演した「わラワレ!」の方がおもしろかった。
余談だがDVDの出来もあまり良くない。
まず全体的に音声のゲインが低すぎてセリフが聞き取れない。再生機器で、ちょっとびっくりするようなところまでボリュームを上げるか、ヘッドホンを使えばなんとか。ただし音楽が流れる部分もラインで録ってるのではなく現場のPAをマイキンクしているようで急に10倍くらいの音量が鳴る。しかも収録時点でなのかクリップしている。
セリフといえば会場PAの都合なのかもしれないが終始ディレイがかかっているように二重に聞こえて、言葉として認識しづらい。規模が同程度の、たとえば他団体の六行会ホールやCBGK!!で収録された作品では問題ないので、新宿村LIVEがよほど特異な劇場であるか収録部隊の力量不足のどちらかだろう。
もうひとつは、舞台上の位置関係において成立する場面、ミザンスとは少し違うのだが、その位置関係があえて見えないように(?)編集されている。舞台をテレビドラマのように見せようという畑違いのプロ?的な仕事。
こういうこと書くと再演そのものを否定しているとかずっとDVD見てろと言われるかもしれないが、オリジナルを踏襲する部分と新たな命を吹き込むべく改変された部分の出来、バランスが悪い。
これはあまり時間をおかずに今のボクラ団義がPlay Againで再演して作品としての意味、また再演の意味を世に問うべき。
P.S.上原真梨華を後ろから手帳でどつくシーンやってみてえー。