廃校/366.0【後日譚】 公演情報 NEVER LOSE「廃校/366.0【後日譚】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    セリフのない空白を味わえなかった
    「廃校」という設定から、舞台になった学校が「必要なのに失われてしまう場所」として描かれていたようです。場所への郷愁は普遍的なテーマですから、この作品のこの登場人物だからこその、独特な思い入れや情熱を感じたかったですね。
    ライブのように躍動感のあるロックのリズムやムードと、非常に静かな会話劇とが、常にマッチしているとは思えませんでした。オープニングがとても良かっただけに残念。
    セリフのない時間が長く取られていましたが、必要不可欠な無言であるとは思いづらかったです。役者さんの演技の質のばらつきも原因のひとつだと思います。
    人物の設定に腑に落ちないことがあり、残念ながらお話を信じることができませんでした。

    特筆すべきは劇場設備の素晴らしさと制作・運営の方々のいたれりつくせりの歓待です。感動しました。

    ネタバレBOX

    桜吹雪が舞台全面に散りばめられて、開幕前から「何かが起こった後」であることがよくわかりました。天井の高い空間が美しかったです。上から眺める席に座って良かったです。
    大音量のロックミュージックが突然止んで、耳にキーンという音が残る静寂に変わります。オープニングはかっこいいと思いましたが、何度も同じ方法を使うと効果が薄れます。


    ケンジの妹トシ子(女教師)が学校で刺殺された時、トシ子の恋人で同僚のコウイチは、すぐそばにいたのに彼女を守れませんでした。教師だったコウイチですが、今は廃校になって取り壊しを待つばかりの学校の管理をしています。だから夜中の学校でケンジらと偶然に出会うのですが、殺人事件の現場に居た人間が、管理人になれるとは到底思えません。


    学校は妹が殺された場所で、今でも彼女がそこに居る(幽霊として登場します)と思うから、ケンジは学校に戻ってきます。妹の死をコウイチのせいだと思ってしまっていたり、「俺はここに居る!」と叫んで、学校が彼にとって大切であると訴えたり、ケンジの妹に対する愛情は非常に大きなものであることがわかります(宮沢賢治と実妹の関係がモチーフになっています)。それほど妹を愛しているなら、妹を殺した犯人についてもっと強い感情を持っているはずなのではないでしょうか。チラシに「(犯人は)拘置所で自殺してしまう」とありますが、事件から1年しか経っていない状態で、これほどまでに犯人の像が見えてこないのはおかしいと思いました。


    目には見えない幽霊(男子学生、女子学生、女教師)に押されて、普通の人間がおかしな動きをしてしまいます。その動きが良かったです。押された後にイスに登ってしまったり、自分が超能力を使ったのではないかと勘違いしたり、独特な演出がありました。

    3

    2007/03/12 11:21

    0

    0

  • shelf 矢野様

    私はレビュー(観劇感想文)を発表する個人サイトを運営しており、なるべく公演期間中に感想を公表するよう心がけています。「審査員になったから」という理由で書くスタンスや内容は変わりません。

    私の感想が矢野さんの感想と違うものになるのは自然なことだと思います。賛成・反対・好き・嫌いに関わらず、率直な感想を同じ場で発表し合うことで、豊かなコミュニケーションが生まれることを望んでいます。

    書き間違いをご指摘くださってありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
    ※「名古屋からの出演者」は当日パンフレットから引用しました。

    2007/03/20 19:16


    shelf 矢野様

    こんにちは、CoRich運営事務局です。
    いつもCoRich舞台芸術!をご活用頂きましてありがとうございます!


    コメント頂きました内容について、下記ご返答させて頂きます。


    「CoRich舞台芸術まつり!2007春」におきましては、審査員も観客の一人として率直な感想を随時投稿させて頂いております。
    全ての作品を鑑賞した後に会議を開き、グランプリを決定いたします(審査基準:脚本/演出/出演者/スタッフワーク/制作・運営/家族・恋人・友人同伴のお薦め度)。


    審査員が第一次審査通過団体の「観てきた!」クチコミを公演期間中にしている件については、下記のようにフェスティバルの概要に記載しております。
    ※審査員は審査対象公演について、それぞれが感じたままに率直な評価をいたします。審査員の「観てきた!」コメントが公演期間中に投稿されることがあることをご承知置きください。
    http://stage.corich.jp/festival.html


    CoRichシリーズは、メンバーが自由に情報や感想をクチコミ投稿し合うことで「個人が豊かになり、みんなも共に豊かになっていく」をコンセプトに運営しております。
    特に公演期間という時間的制限のある舞台芸術分野においては、インターネットの即時性が観客にとって役立つというだけではなく、結果として芸術団体の皆様にもプラスになることを願っております。


    また、ご指摘の通り、審査員全員が同日に観に行き、感想を記載することが理想なのですが、今回は1つの公演につき3~5名が観にいくという形を取っております。3ヶ月間に10公演を観にいくというフェスティバルの特性上、難しい面がございますのでご了承頂ければ幸いです。


    今後、「CoRich舞台芸術まつり!2007春」についてのご意見・ご質問は、審査員宛てにではなくCoRich運営事務局にお問い合わせくださいますようお願いいたします。
    お問い合わせフォーム
    http://www.corich.jp/stage/contact.php
    お手数をお掛けしますがよろしくお願い致します。


    最後になりましたが、貴重なご意見をありがとうございました。次回フェスティバル開催時の参考にさせていただきます。
    今後ともCoRich舞台芸術!をどうぞよろしくお願い申し上げます。

    2007/03/20 12:53

    shelf矢野です。


    記事、興味深く拝読しました。


    審査対象になっている作品について、審査員の方が、審査結果の出る前にコメントをされるのですね。


    いろいろと疑問が浮かびます。例えば、




    ・審査員の方は観劇なさった10作品全てに対して必ず全員がコメントをすることにしているのでしょうか。


    ・観る作品と観ない作品があったら審査のシステムとして非常におかしなことですが、コメントをする作品、しない作品があるというのも、扱いに別が生じて問題があるのではないかと思います。忙しくてアップにタイムラグが生じているのかも知れませんが、後述するようにタイムラグがあることも問題だと思います。そのあたりの内部での取り決めはどうなっているのでしょうか。


    ・あるいは、一般の方の口コミ情報と、審査員の口コミ情報が同列に扱われていること。よく読めばそれが審査員の評だと分かるけれども、一見するとその区別が非常に難しいです。それは意図的なものなのでしょうか?


    ・そもそもこれは、レビューなのか、審査「評」なのか。


    ・審査対象に対して審査員が、公演終了前に辛口のコメントをすることが、公演後半に及ぼすかもしれない影響についてどのようにお考えなのでしょうか。

    コメントするタイミングにもよりますが、褒めれば肩入れすることになるし、けなせば客足に響くこともあるでしょう。そのことについて、内部ではどのようなガイドラインを設定されているのでしょうか。


    ・特にしのぶさんに置かれては、ご自身の責任においてご自身の価値基準でレビューを書かれている、その普段の立場とは明らかにことなることを今回の「CoRich舞台芸術まつり!2007春」ではなされているわけですが、というのも審査員というのは一レビューアと異なり、今回オーソリティ(権威)としての「力」を持っているわけですね。そのへんの区別をどのようにお考えになっているのでしょうか。


    ・そもそも、「CoRich舞台芸術」は、口コミで好いものを好い、と取り上げることによって、観客のためのガイドブックのようなものを作ろう、ひいていは「舞台芸術」全般の環境を改善していこうとされているのかな、と思っていたのですが、そうであれば面白くないものについては、単純にそれを取り上げなければよいものを、対象に対する愛もないままに、批判めいたことをそこに書く、そのことの及ぼす害悪についてどのようにお考えなのでしょうか。


    もちろん、それぞれに深いお考えがあってのことでしょう。しかしそれでも、僕は今回のしのぶさんのコメントについては疑問が残ります。


    というのも、僕はポスト・パフォーマンス・トークのゲストとして呼ばれていたので、13(火)の二作品を観劇したのですが、観劇しながらいろいろと感じたことが、少なくともNEVERLOSE作品について、しのぶさんと全く異なる内容だったんですね。


    ある作品について、個人がそれをどう捉えるについては、個人の依って立つ文脈や、人生経験、好みの違い等によって異なって然るべきものだと思いますので、その「違い」については是非が問われるべきものであるとは思いません。


    が、しかし今回は、今回の記事発言は、みなさん「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の審査員というの立場からの発言としてみなされるわけですよね。


    それは皆さんが「CoRich舞台芸術まつり!2007春」というものがどのようなフェスティバルであるべきだとかんがえていらっしゃるのか、その、企画に対する皆さんの理念があって、審査対象へのコメントというのは、それに裏打ちされた発言であるべきではないかと思うのですが、如何でしょうか。


    今回寄せられている審査員の方々のコメントを読んでいる限りでは、残念ながら僕にはそれが全く解りませんでした。


    「CoRich舞台芸術まつり!2007春」 は、非常に面白い企画だと思います。


    「沢山の人に演劇に触れてもらいたい!」 「皆さんがお芝居に触れるきっかけになれれば、」 「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」 というしのぶさんの情熱、想いについては頭が下がるばかりですが、今回の審査対象へのコメントについては、どうしてもその意図がよく分かりませんでした。


    ご多用のこととは思いますが、もしお時間がありましたら、お答え頂けると幸いです。


    shelf演出家、矢野靖人


    追記


    「しのぶの演劇レビュー」の方で、キャスト名に誤記がありましたのでお知らせします。×フルヲカルリ → ○フタヲカルリです。あと、名古屋からの出演者=に「河村梓」が抜けています。気付いてしまったので、取り急ぎご報告までに。


    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0312113619.html

    2007/03/18 15:36

このページのQRコードです。

拡大