廃校/366.0【後日譚】 公演情報 廃校/366.0【後日譚】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.2
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★★

    感想(敬称略ですいません)
    桜の花びらが一面に散りばめられた円形の舞台の上方には、花びらの全て散った大きな木の枝が吊るされている。
    とても美しい舞台美術だと思った。
    もしも花びらが桜の命を象徴しているのなら、舞台の床には生が敷き詰められていて、舞台の上には枯れ木という死の象徴がぶら下がっていることになる。
    そんなことを考えていると、その中間で演じる役者たちがとても恣意的な存在に思えてきた。

    ネタバレBOX



    NEVERLOSEの創り上げた舞台には、異なる位相同士が同時に幾重にも連なって存在している。
    その代表的な例は言うまでもなく、生きている人間と死んでいる人間の位相だ。
    このことをまずはっきりと認識させたのはトシ子(川渕優子)の声だった。
    精確には声ではなく、その佇まいから発せられた音の響きであり、それがどうも「少しずれた」世界から聞こえてくるように思えたからだ。
    その「少しずれた」世界が、死んでしまった人間のいる世界だということは、「舞台上の人間には幽霊が見えていない」という設定を使って幾らか滑稽に説明される。
    人間が幽霊のいる椅子の上に腰掛けたり、幽霊が人間同士の喧嘩を止めたりと、色々観客をクスりとさせるようなやり取りが行われていた。

    しかし、ここで気に掛かっていることがある。
    劇中の人間は、幽霊を見たりその声を聞いたりすることはできないが、物理的には触れ合うことができる。
    そして舞台上には一人特殊な人間がいて、それはトシ子の兄ケンジ(谷本進)なのだが、彼は幽霊であるトシ子を見ることも彼女と話しをすることもできる。当然触れることもできるはずだ。
    その彼が、トシ子、マユミ(舘智子)、コウイチ(代田正彦)の4人になるシーンで、マユミとコウイチを強く抱きしめていたにも関わらず、トシ子には触れてもいなかった。
    話しの流れで抱きしめる必要が無かった、と言えばそれまでなのだろうが、どうしてもトシ子だけを抱き締めないという行為を意図的に目立たせていたのではないのだろうかという印象が拭えない。
    (ここはケンジが現在の人間との関係を結びなおそうとするシーンだと思うのだが、不思議と幽霊の存在を捨てたという印象は受けなかった。人間との関係、幽霊との関係を並行して認めた、と言うほうが相応しい。)



    ここからは憶測だが、この抱き締めることが出来なかった行為こそが、劇の中で演じられたあらゆる希望という位相に相対して重なる、演出家の仕掛けた現実というブレーキに相当する位相の侵食なのだろう。
    観客にまで見えなくなってしまった幽霊の存在も、現実に眼を向けさせる要因だと感じられた。

    この作品は、とても多くの希望や願いの詰まったものだったと私は思う。
    本来ならばただ追憶されるだけの存在である幽霊、もう会えない大切な人、とまた会話をしたい、一緒にいたいという願いは、文字通り夢のような願いだ。

    登場人物たちが煙草を各々吸い始めるラストシーン、そんな願いはピークに達し、圧倒的な強さで場を支配したまま実現され、その後完全な暗転を迎える。
    追憶に埋もれてしまいそうになる。
    自分には自分の、整理のついていない大きな死別がある。
    そのことが少し赦されたような感情が沸き起こるが、ブレーキとして仕掛けられた現実がそれを和らげる。
    カタルシスに似た喜びが残るわけではない。
    しかし、ただ悲しみだけが残るわけでもない。
    様々な感情がそれぞれ異なった位相を形成して、バイアスを認めない。
    その状態こそが別れと「向き合う」状態なのだろうかと思う間もなく暗転が終わり、観客にまで照明が当たる。
    劇場にいた人間それぞれの葛藤までが照らし出されるようだ。
    そしてそれは同時にこれから結ばれるであろう人間同士の関係にまで言及しているようでもある。
    自分の他にも涙を流している観客を見た。
    確かに客席と舞台の位相が重なり合っているように感じられた。

    強く感動した。
    それと同時に悪意のない暴力を受けたような圧迫感も残ったが、今振り返ってみればどうにも心地良かったように思われる。

    東京公演でも、またその場でしか味わえない感情が起こるのだろうか。
    今から楽しみでならない。



    最後に、コウイチの衣装が演出の片山雄一の私服だったことが思い浮かんだ。
    コウイチとユウイチ、名前も片仮名だと一層似ている。
    ここでも演出家と役者、舞台の外から観る側と舞台の上で観られる側という洒落っ気のある位相の重なりが形成されているわけだ。
  • 満足度★★★★★

    好きだぁ☆
    私は初日の10日と千秋楽の14日の二回観ました。 演劇は生身の人間がやっていることなので、見る日によってもきっと感想って違うと思うんですけど…… 私は初日に観て、すごくNEVER LOSEを好きになりましたよ☆

    初めの方のあの兄と妹との会話の間、長くもなく短くもないあの心が通い合う時間、素晴らしかったと思います。

    それに沢山笑って楽しかった☆ そしてNEVER LOSE独特の音と光の使い方、観たことが無い方は是非劇場に足を運んで、体感してみて下さい♪♪

  • 満足度★★★

    日常又は劇中に潜む違和感を追求した劇
     悪くはなかったという感想がそれ以上でもそれ以下でもないという感じ。
     役者さん達は上手い。でも、劇としての意味はそこまで伝わらなかった。間の取り方ともよくわからないし、緊張感も後一歩伝わらなかった。
     後二本で一本っぽい宣伝なんだけど、ほとんど関係ないところもネック。

  • 満足度

    導入部はとても良かったのですが・・・
    最初は迫力のある音楽や緊張感のある静けさなどに引き付けられ、すごくワクワクしました。ただ、その後は少し分かりにくい人間関係を読み解いていく面白さはありましたが、個人的に笑えたり、感動したりするポイントが少なく、メッセージ等も感じ取れず残念に思いました。
    運営面では関係者の方の対応が丁寧でとても好感が持てました。劇場は綺麗で椅子も座りやすかったです。
    時間・距離の制限があり、やりたいことができない点もあったと伺いましたので東京公演は期待できるかもしれません。

    ネタバレBOX

    円形劇場だったこともあり、私の席から先生(妹)の声が聞き取りにくかったので、そのあたりを今後調整してもらえればうれしいです。
  • 満足度★★

    セリフのない空白を味わえなかった
    「廃校」という設定から、舞台になった学校が「必要なのに失われてしまう場所」として描かれていたようです。場所への郷愁は普遍的なテーマですから、この作品のこの登場人物だからこその、独特な思い入れや情熱を感じたかったですね。
    ライブのように躍動感のあるロックのリズムやムードと、非常に静かな会話劇とが、常にマッチしているとは思えませんでした。オープニングがとても良かっただけに残念。
    セリフのない時間が長く取られていましたが、必要不可欠な無言であるとは思いづらかったです。役者さんの演技の質のばらつきも原因のひとつだと思います。
    人物の設定に腑に落ちないことがあり、残念ながらお話を信じることができませんでした。

    特筆すべきは劇場設備の素晴らしさと制作・運営の方々のいたれりつくせりの歓待です。感動しました。

    ネタバレBOX

    桜吹雪が舞台全面に散りばめられて、開幕前から「何かが起こった後」であることがよくわかりました。天井の高い空間が美しかったです。上から眺める席に座って良かったです。
    大音量のロックミュージックが突然止んで、耳にキーンという音が残る静寂に変わります。オープニングはかっこいいと思いましたが、何度も同じ方法を使うと効果が薄れます。


    ケンジの妹トシ子(女教師)が学校で刺殺された時、トシ子の恋人で同僚のコウイチは、すぐそばにいたのに彼女を守れませんでした。教師だったコウイチですが、今は廃校になって取り壊しを待つばかりの学校の管理をしています。だから夜中の学校でケンジらと偶然に出会うのですが、殺人事件の現場に居た人間が、管理人になれるとは到底思えません。


    学校は妹が殺された場所で、今でも彼女がそこに居る(幽霊として登場します)と思うから、ケンジは学校に戻ってきます。妹の死をコウイチのせいだと思ってしまっていたり、「俺はここに居る!」と叫んで、学校が彼にとって大切であると訴えたり、ケンジの妹に対する愛情は非常に大きなものであることがわかります(宮沢賢治と実妹の関係がモチーフになっています)。それほど妹を愛しているなら、妹を殺した犯人についてもっと強い感情を持っているはずなのではないでしょうか。チラシに「(犯人は)拘置所で自殺してしまう」とありますが、事件から1年しか経っていない状態で、これほどまでに犯人の像が見えてこないのはおかしいと思いました。


    目には見えない幽霊(男子学生、女子学生、女教師)に押されて、普通の人間がおかしな動きをしてしまいます。その動きが良かったです。押された後にイスに登ってしまったり、自分が超能力を使ったのではないかと勘違いしたり、独特な演出がありました。
  • 満足度★★★

    空気は好みです。
    確かに引き付ける「手法」は持っています。オープニングの入り方は期待させるものがありました。あの空気は大好きです。空気から物語が生まれたり、質が変化して行けばおもしろいと思います。
    ノスタルジーを感じる程に場所・空間が描かれるわけではなく、感情移入できる程に人物・関係が描かれるわけではなく、空気のままで終わってしまったような印象を受けました。

    ネタバレBOX

    会場内に入ると、床を染める桜の花。散った様子から、何かが起こった後なんだなというのが伝わってきます。上空、奥から伸びる桜の枝の影が、花散る床に。それが満開の桜のようでもあり。

    ラストは一個手前のシーン終わりで拍手しそうになりました。空間が変化したあの一瞬で終わっていたら気持ち良かったと思います。
  • 満足度★★★★★

    面白かった
    ド派手な音楽と リズミカルなセリフの応酬。
    奇妙な間というか動きの妙。
    主催者の見事な髪の毛の色(笑)

    集中力を途切れさせない演出のすごさも感じました。
    舞台美術もステキ。

  • 満足度

    見てきました。
    正直、期待しすぎていたのかも知れない。期待していたからこそ舞台を見てショックでした。ホームページ、パンフレットのできは最高でした。でも。。。。少し厳しく言わさせていただきます。演者の演技にバラつきがあり、ステージ全体に間延び感がありました。また、劇への引き込みといいますか、悪い意味でお客が入り込めないくらいに作りこんでしまって、最後の余韻を楽しむ事ができませんでした。もったいないです。
     ただ、スタッフの方々は最高でした。制作の方のきめ細やかな気配り、劇場に来ていただいた方へ違った形でNEVER LOSEを楽しんで欲しいというのが見えて、他の劇団も見習うべき行動であると思います。
    今回の企画としては非常に面白いものと思います。しかし、今一度、今回の「廃校/366.0」の全体的に見直しをしてもらい、再演してもらいたいものです。

    ネタバレBOX

    「廃校/366.0」の企画そのものは良い!!でも厳しく言わせてもらうと、まだ、時期尚早であったと思う。もっとこの話は練れたのではないか。本当にもったいない。人によって意見は分かれるだろうが最後の20分のものはいらないと考える。
  • 満足度★★★★

    笑った
    いや、面白い(爆)
    ポンポン飛ぶ会話のテンポと内容。
    ネタバレするから書かないけど
    「見て見て!!」のセリフの場面は是非見て見て!!!

このページのQRコードです。

拡大