桜舞う夜、君想ふ  ※全公演終演しました。『観てきた!』ご記入頂けましたら幸いです。 公演情報 STAR☆JACKS「桜舞う夜、君想ふ ※全公演終演しました。『観てきた!』ご記入頂けましたら幸いです。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    殺陣があるが美しい芝居
    導かれ操られるように、幕末の世界へ旅する...そんな股旅物語を体験したような。この旅(回想)は、説明にある「田舎の村に住む老人のところへ 帝都新聞の記者が訪ねてきて、清水一家の侠客の一人、 森の石松の死の真相」について尋ねるところから始まる。

    この公演は、浪曲・講談で耳にする「森の石松」の最期にあたるところであるが、その話の中心は恋花のようで微笑ましい。有名な「馬鹿は死ななきゃ直らない」と言われた男の純情が見える。そして物語全体に滋味を与え観応え十分であった。

    少し気になるのは...。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    知られる森の石松の最期は、清水次郎長親分の名代で、讃岐の金毘羅代参の帰り、浜松の都田で都鳥一家のだまし討ちに遭う。浜北の小松村七五郎にかくまってもらうが、浜北の道本の子安堂、 通称閻魔堂で休んでいるところを親分や自分の悪口を言われ、出て行き斬られる、というもの。こちらは単純。

    本公演は、話を聞くことになった老人が、石松と因縁を結ぶことになった小松村の七五郎、石松が恋したさくらの兄であった。この兄は、都鳥一家の賭場の回し者のような存在であった。しかしそこはヤクザの世界。七五郎に賭場で借金を作らせて、女衒に女(女房や娘)を売り飛ばさせる。兄の窮状を知り、妹は自ら借金の形に女郎になる決心をする。この妹を見た石松が一目惚れ。そこで借金を何とか工面しようと...。こちらは一本気。

    この公演では、森の石松という侠客のあまり描かれない場面を強調し、人間ドラマとして仕上げている。名前から幕末という設定であることは知れるが、その時代設定を鮮明に説明していないようだ。森の石松をあまり知らない観客であっても、その人物の人柄に訴えるような観せ方である。それゆえ物語(人物像)の面白さ、魅力付けに力点を置いているようであった。だから人物造形、動く後景(舞台セット・キャスター付の磨ガラスか障子の衝立が数枚)での展開、そうすることで立体的に仕立てた印象付けの強い公演のようだ。
    物語プロローグ...不思議な縁に導かれ、明治から江戸・幕末へ血の源流を遡行させる。そして先に記した石松と祖母(記者に同行したのは孫にあたる)の恋花を知る、という滋味に繋がる。

    気になるのは、殺陣でありながら剣舞。その観(魅)せる場面を美し過ぎるように演出しており、叙情的のように感じた。それは印象付けにも現れている...ラスト桜舞い落ちる中での殺陣シーン。美しい絵(場面)であるが、その中にある石松という生身の人間の魅力が美シーンに追いやられたように思えるのだが...。せっかく立ち上げた人物像を大切にしてほしかった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/09/20 14:14

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