the Answer 公演情報 FUTURE EMOTION「the Answer」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    前作に続いて...面白い!
    本作と少し事情が違うが、映画「イミテーション・ゲーム」を想起した。それは第二次世界大戦時、ケンブリッジ大学の特別研究員が英国政府の機密作戦に参加し、ドイツの誇る世界最強の暗号機に挑む、というもの。
    日本で軍事上の「特定秘密」を、と言われて歴史的な事例を即座に想い出せる人はそう多くいないであろう。
    この公演は、暗号解読など科学的専門用語が多く使用され、その理解に拘っていると物語について行けない。公演全体を包んでいる緊迫感・緊張感に身を委ね、物語(筋)を楽しむことにした。

    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    父の遺した研究成果...量子コンピュータを利用して成そうとしていた謎を解くこと、娘としての使命感のようなもの。一方、その解読によって迫り来る危険な香りがする。この不穏な空気・雰囲気は、舞台を暗幕で囲い薄暗い中で物語が展開していく。そして時折怪しげに照射する照明効果が印象的である。

    この量子コンピューターを巡り、父・娘の思い、研究成果の隠匿、それに国家的な思惑・陰謀が絡み合い、物語が輻輳していく。まず、量子コンピューターの利用価値が台詞で説明されるが、その現実が想像し難い。そして国家機関として絡む内閣府調査室、警察機構(公安)が漠としている。そして早口で喋る専門用語など...。その分かり難いシーンを補うかのように、娘と母(父と同じ研究者)が喫茶店で回想するシーンがホッとする。この安心するシーンが現在で、多くを占める不穏なシーンは回想。この過去・現在を交錯させながら物語は徐々に真相へ近づき、ラストでは父、そして母の娘への切ない思いが胸を打つ。

    さて、物語の展開は過去・現在の交錯、そして時(もしくは解き)を繋ぐ研究成果の目的は、極めて個人的なようだ。母の不妊...その治療のような遺伝子操作を以って子供を授かる。そして生まれたのが自分であると...。科学的な用語、そこには機械的な響きしかないが、喫茶店での母・娘の会話は人間的な観せ方、という対比が面白い。

    個人的な思いと絶対に秘密にしなければならなかった理由も分かる。科学進歩とそれによってもたらされる繁栄、その一方で人類の不幸も垣間見えてくる。そして娘が決断したこととは...。量子コンピュータの初期化、それによって恣意的な国家戦略(そこに「特定秘密」のような)の恐ろしさが存在するように思えた。研究の中心にいた人間(父)やその共同開発に携わった人たちに及ぶ理不尽な悲劇があるような。
    在りそうなリアリティと創作芝居としての面白さが十分感じられる公演であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/09/19 15:08

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