タイムリーパー光源氏 公演情報 十七戦地「タイムリーパー光源氏」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    頑張る青春SF源氏物語かな...
    十七戦地・柳井祥緒氏が、説明文にあるような”恋のお作法を学び”というような単純な恋愛物語を描くとは思えなかったが、見事に”らしい”公演になっていた。
    この公演、平安時代の残暑という設定であるが、もともと外形から観せることはしていない。いや、その雰囲気は出すように工夫はしているが、小手先の芝居ではない。それでも少し気になるところが...。
    本公演は劇団員のみで成している総力戦だという。その表現する場...しあん、初めて訪れたが雰囲気のある会場で心地よかった。
    (上演時間65分)

    ネタバレBOX

    恋の作法を学び、愛しい人...藤壺を恋攻略する策を練る。陰陽道の秘術を用い、振られる前に時間を巻き戻し、その経験値を繰り返し上げていく。しかし、この恋攻略のシュミレーションを通じて自分の本心・欲望が炙り出されるというシュールな内容になっている。この相手の心を探るうち、自身を見つめ自信(自己主張)を持つようになる。

    相手への感情表現は、自分が素直になること。邪心があれば王命婦(藤壺の宮の侍女)が取り次いでくれない。ここで時代背景の重要性が明らかになる。本公演のシチュエーションであれば、現代に置き換えてもタイムリープという繰返しのシーンを作り出すことはできる。しかし平安時代に直接会えないという”しきたり”を取り入れることによって、実際登場しない藤壺の意思がこの王命婦を通じて伝えられる。しっかり第4の登場人物が立ち上がってくる。そして光源氏の本心・欲望が見えざる手によって翻弄されるところが面白い。

    その繰返しのキッカケのような事象...食用菊を食すること、蚊であろうか、それとも別のことが...。いずれにしても笑いの小ネタ・陰陽道の秘術を操る動作は滑稽であった。遊び心と、その裏に描くシュールな内容は、やはり十七戦地らしい。とは言え、上演時間が65分と短いこともあり、今まで観させてもらった公演に比べると、その描き込みが薄いという印象は否めない。

    登場人物は3人。その誰も演技は確かでチームワークが良い。比較的短い物語であるが、印象に残る演技であった。強いて言えば、鴨居の高さに演技が多少ぎこちなくなる、もしくは小さな演技になったこと。

    最後に気になること...外形(観)への印象として、例えば舞台入り口、庭へ出る際、「ガラッ」とガラス戸の音がする、現代のソファーセットなど、衣装の雰囲気への気遣いに比べて違和感があった。承知・納得できる範囲であるが、やはり内容とともに視覚も大切であることを再認識した。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/09/10 18:06

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