満足度★★★★★
「17人のオーケストレーションで送るロマンチックストーリー。貴方は誰に共感する?」
開始5分の無声openingで泣いた。
その先、どんな物語か知らないのに。
上質な映画を見ているような、小説を読んでいるような、自分の過去を見ているような。
『あ、この気持ち、知ってる…。』って、物語のどこかで誰もが感じる優しいストーリー。
絶対にDVDに出来ない理由は察していたけど、往年ロックのど真ん中すぎて想定外。でも、見終わるとそれしかあり得ない。
建築デザイナー・環奈の行動も、SE・孝之の行動も、どちらも自分の中にあるもので、外でのある場面では「環奈、めっちゃそれ分かるよ!!!」って思ってたり、部屋の場面では「ですよねー、孝之さーん…」って同調してたり、「なんで二人ともそうなるの!」って自分のこと棚に上げてしまったり。2人のやりとりが、自分の心に刺さって抉って辛い。だからこそ、嬉しい。こんな恋がしたい。いや、したくないけど…。でも、それでもいいやって思えるのは何でだろうね。同世代の希望。
どの恋人ペアも、友情ペアも、全力で人生を楽しんでて、一人残らずいとおしい登場人物。
瞬さん理絵ちゃんの主役ペアの明るさが、物語全体の色彩をワントーン上げてる。樋口さんリズちゃんペアの純真さが透明度を上げてる。土屋さん図師さんペアが強度を上げてる。
そもそも、瞬さん演じる主人公のあの柔らかさと優しさと明るさと全力っぷりを同居させられる人は少ないね。
いろんな人が入れ替わり立ち替わり主導権を握って物語を動かしていく様子が、合奏の指揮者の楽譜(全部の楽器の譜面が集合してる)を見ているみたいだな、というか、オーケストラだなって思っている。
やっぱり6番シードが好きです。すごい人たちです。ゲストさんもスタッフさんも含めて。