どろどろどるーんぷらすてぃっく 公演情報 カメハウス「どろどろどるーんぷらすてぃっく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    亀井ワールド
    亀井ワールドの新しい側面を見せる作品だった。
    僕は奇蹟的にも彼、亀井伸一郎くんが作ってきた作品を、最初からほとんど全部目にしている。
    だからこそ、その時々の揺らぎや産みの苦しみを目の当たりにしてきた。
    そしてその作品ごとに自身より滲むものをスプリットしている事もよく感じていた。

    で、
    今回の作品だ。

    この作品をやる!と、決まった時に彼は僕にこう言った。
    「まだ今までマサさんが観たことのないカメハウスを見せます。」
    作品を作る前にいつも彼がいう儀式のようなものだ。
    そして、
    その言葉が発されるたびに、彼はそれを超えてきた。
    色んな意味で!

    とにかくこの作品について書こうと思う。


    作品についてはデリケートな部分も多いし、
    何より作者の内面世界が描かれており、
    ライトノベルのようでもあり、
    淵の見えない闇のようでもあり、
    そうした心像風景を亀井くんは自身から滲み出るパフォーマンスを駆使して舞台を彩る。

    僕はTwitterにてツブやいた言葉がある。
    それをここに書き出してみる。


    「やはり亀井演出のパフォーマンスは一級品!
    しかも文学的要素が更に高くなり宮沢賢治が滲む。
    蒼と紅の時間。」


    これは的を得た言葉だと思っている。
    アニメのコマ割を舞台でまんま表現するとして、
    それらを物理的にも、ねじれ空間を表現し尽した舞台が面白くない訳がない。

    僕が作品を観て喚起する「宮沢賢治的な描写」も、
    亀井ワールド全開で、
    美しく耽美なものを僕ら観客に届けてくれる。

    しかも途中で挟まれるキスシーンやセックスシーンの描写なども、
    昨今の小劇場では考えられないくらい踏み込んでいる。
    またそのシーンにはその粘膜が響く音と、女の子の喘ぎ声だけが浮かび上がるように演出されている。
    静かな時間ではあるが、
    人の脳内を、そして本能を刺激するシーン。

    とにかくコラージュ的に主人公のモテ男ぶりが鼻につくが、
    彼はそれを静かに受け入れているだけで、
    肉食的ガッツキがないし、
    何よりも佐藤駿くんの無味無臭さが許せる許容量を有する。

    さて長々と書き連ねたが、
    この作品は今年の演劇作品の中でもかなり上位に評価される作品だと僕は思う。
    チープさも含め、それはその時にできたMAXであり、
    彼らの「もがき」だとも感じているから、
    僕も奇蹟的に3回舞台を感じ取れて嬉しかったのだ。
    更なる躍進を望みます。
    ありがとうございました。

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    2016/09/05 16:34

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