「ORI.×ORI.」-「たゆたう」 公演情報 重惑[omowaku]「「ORI.×ORI.」-「たゆたう」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    試みは良いが…
    初見の劇団、本公演で東京進出を果たしたそうである。さて舞台セットは、スタジオ出入り口とは反対側の壁際に作り演技スペースを大きく確保する。
    本公演は、「ORI.×ORI.」 「たゆたう」の2本立で、その間に5分間の休憩がある。この2作品の描き方はまったく異なる。1本目は実際にな考えにくいが、現実感あるもの。2本目は寓話、お伽噺のたぐいの空想話で、非現実的な世界観のもの。脚本・演出の井岡森愛 女史によれば「作風も演出も異なる短編だが、それはまだ形のないわたしの祈り」だという。創作の引出しの多さ、その実験的な試みに”関心”した。
    (上演時間1時間30分 途中休憩含む)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、椅子が数脚あるのみ。客席は床面に座布団、両側の壁際にboxクッションがいくつか。壁を背もたれに出来るためクッション席を選択した。

    梗概...それぞれ説明文参照
    「ORI.×ORI.」... ワンボックスカーの車内。旅行の帰路、疲れた男5人は、少しばかりの疑問を持ち始めていた。誰か1人でも降りれば、残り4人は不快感なく帰宅ができるのではと思い始めた5人の間で繰り広げられる心理劇。この劇団初のコメディ...そのオチにキレがなく流れたように感じた。コメディから鋭くシュールになるようなものがほしい。

    「たゆたう」...意味は漂うということらしい。話のイメージはダークファンタジーといったところ。物語は、厳格な父と冷徹な母、それにマリアのような後妻が登場する。ここに兄弟がいるが、兄は先妻の子で、聡明。弟は父と後妻の子で愚鈍、いや純粋なのである。兄弟は仲良しで、ある日マリアに瓜二つの少女に出会い、兄弟とも惹かれてしまうのだが...。
    もっとも残酷で、もっともピュアな兄弟の物語、といったところ。

    衣装も演技も浮遊感に溢れておりタイトルイメージである。この物語で何を伝えたいのか、寓話であればその訴えなりが透けて見えると良いのだが...。
    さらに、物語の中で無造作に役者が自分の家族(現実)との関わりを話し出すが、構成上必要であろうか。空想劇に現実家族(本当に役者家族)の話を挿入することで、虚実が溶けてくる。この綯い交ぜにすることによって描きたい家族の物語が現実側に引き寄せられ面白味を失うような気がする。自分は、”夢物語”に妄想が入り込み、仮想性が高まるような効果を持たせる方が好みである。

    全体的にはいろいろな試みが見えて興味深かった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/08/23 19:31

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