土木座 公演情報 guizillen「土木座」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    土木女の三姉妹物語…不思議な感覚
    暗幕に囲まれた素舞台...3姉妹とそれぞれが関わる人達との交流を通して描かれる「再起」と「成長」の物語。演技がオーバーアクションのようで面白いが、ストーリーは3姉妹が歩んだ3話がバラバラのようで繋がりが見えない。それゆえ物語に膨らみが感じられないのが残念であった。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    梗概...祖父の死、その遺言に従い3姉妹が自分の道を歩み出し、それぞれ土木作業員たちに出会い、やがて故郷に戻るまでを描いた土木ファンタジー。その姉妹のキャラクターは遺言によって説明される。長女は地元に残り家業を継ぐ、次女は芯が強いから都会で生きる、三女は何故かローソンで働けと...それに納得できずその店舗がない街を探す。この冒頭の性格付けが、後々の話を分かり易くしている。

    それぞれの話...
    長女... 心血を注いで掘ったこの脈に、自分たちの血液を流し込む。
    次女...金銭のための穴掘ではない。故郷(宇宙)に帰りたい一心である。
    三女...青年の海が見たいだけ。穴の向こうに海(比喩)が見えるのか。
    話ごとに意味を持たせているが、そのまとまりとしての盛り上がりが欠けていたと思う。ラスト、3姉妹が彷徨の末、故郷に帰ってくるまでの奇跡で繋がるのみ。最後は寓話のような…。

    土木業は、かつて3K「汚い」「きつい」「危険」と言われ、女性からもっとも遠い存在の職業と思われていた。しかし最近では土木女(ドボジョ)という言葉を聞くまでになり、実際現場で働いている女性を見かけるようになった。そんな土木に携わる女性が主人公である。
    芝居はコメディタッチであるが、それぞれの話はドキッとするような輝きを放っているようだ。その描きのイメージは、長女・穴の血塊-肉感的、次女・宇宙空間-神秘的、三女・海の眺め-精神的、といったところで、なんとも不思議な味わいがあるのだが...。それだけに先に記した通り関連、繋がりが見えればもっと良かった。

    演技は熱演であるが、祖父の登場場面と海が見たい青年との対話以外は、同じテンポのように感じる。もう少しテンポに緩急があると集中して観やすいと思う。
    最後に、あまり目立たないが、小道具の「花(紙)吹雪」や技術(音響・照明)も効果的な役割を果たしており印象的であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/08/23 18:34

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