脱出前夜 公演情報 The Stone Age ブライアント「脱出前夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    儚い夢か...
    場内に入るとしっかりした舞台セット。そこで展開される物語に期待・気持が高鳴る。「脱出前夜」という意味深なタイトル...多くの人が感じ持っている気持かも...。その表現は少しイラッとさせる。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    まず舞台美術が素晴らしい。駅舎ホームかと思っていたが、そこはバス待合所。建設途中で途切れている線路、いずれ鉄道を通したいという。そのホームのようなところの柵うしろ...上手奥にはアパートの窓。下手は待合ベンチ、伝言板や時刻表が掲げられている。冒頭はアジサイ。中盤に桜など季節感を出している。

    物語はアジサイ咲く6月某日...豪雨(音響)が印象的であった。物語は同年の桜が咲く時期に遡る。伝言板には3月23日と記される。そして1年後のアジサイが咲く時期を迎える。当日パンフにも記されているが、3日間の物語である。

    長距離トラックの運転手だった男・若竹時生(アフリカン寺越サン)とその恋人・石月薫(土屋咲登子サン)が主人公である。二人はアパート二階で同棲しているが、最近気持ちにズレが生じてきているような。時生は小説家を目指し、習作に励んでいるような...一方才能に見切りを付けているような節も見受けられる。そんな中途半端な気持ちを察して、薫はイラツキ心配もしている。この二人を中心にアパート大家、バス会社の社員などが絡む。

    生き甲斐を見つけ、それに向かって進む気持、そこには才能という見えない自身の壁が描かれる。その悶々とした気持とそれを処理できない苛立ちが見える。それが優柔不断のようであり、うまく アフリカン寺越サン が演じている。それに呼応するかのような土屋咲登子サンの演技も迫真。

    実際、自分の”やりたい事が出来た”と言える人が何人いるだろうか。例えば仕事にしても後から辻褄あわせで、やりたかった事と刷り込ませているかもしれない。本作でも夢を叶えた人・リハビリ学校の教師、夢を諦めて、詐欺まがいの営業をしている人。悲喜こもごもの人生模様が垣間見える。この物語の結末はハッキリしないし、させない。敢えて観客に委ねたような…。
    自分では、敷かれたレールに乗る(冷徹に俯瞰する)こともあるが、途中で途切れた先を自分で敷設して行くことを望みたい。劇中にある、「辛い」と言う一線(一筆加え)を越えたところに「幸」があると言っていたのだから。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/06/27 19:00

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