震~忘れない~ 公演情報 Unstoppable Film「震~忘れない~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ドキュメンタリー風
    東日本大震災から5年、改めて地震・津波の天災とそれに伴う人災を問う。ドキュメンタリー的手法のような公演であった。それは既にTV映像や新聞報道で既視し、または既報された出来事をいくつか挿話として繋げているように思う。
    創作劇としての物語ではなく、当時起こった、またはそれに起因した出来事を描いているが、その展開は系統・時系列のように整理はしていない。その場面、シーンの不連続な重なりが各所で起きている出来事の臨場感と現実感を生んでいるが...。

    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    冒頭の地震・津波による轟流・轟音はすごい迫力があった。この物語の緊張感は、このシーンで掴み全体イメージを形成した。そして起因した出来事を踏まえた上で、そこから生じた問題を色々な立場や観点から描く。1つ1つの出来事は、エピソードのようになるため冒頭の掴みが重要になっている。
    その描き方であるが、5年の歳月を経ていても悲惨さは直ぐに実感してしまう。もっと言えば5年を経ても...この間に何(復興の進捗)をやってきたのだろうという思いを強くする。それだけに感情ではなく客観的に描くことで、今の現状が浮かび上がる。そこに今、この公演を行う価値があった。

    一方、人災(原発)は、人の利害、行政の思惑など色々な要素...背景・状況などが錯綜し、制作者として第三者的な言動は炯々には言えないだろう。さもしたり顔したとしても当事者の心情に響かないし、芝居を観るている観客の心魂を揺さぶらない。

    ドキュメントにすることで事実(または類似)の重みが伝わる。そうすることで「原発事故」は日本人全体との問題、「福島の人は大変」などという他人事にならない。観客が自分のことのように考えてもらう工夫のようなものがある。
    マスメディアからの情報はもちろん、取材もしているのではないだろうか。

    架空の出来事ではなく、実際起きたこと。同じ時代に生きても、その体験、視たことがなければその痛み・悲しみが見えないし共有することもできない。
    物語は十分、その魅力を惹きつけるが、やはり展開が細切れのような...。
    もう少し創作...感動的シーン(はぐれた子供との再会も早く、その心配する様子も平面的)を(魅せるため)盛り込んでも良かったと思うと、少し勿体無い公演になった。

    舞台美術、音響・照明という技術は素晴らしく、物語の重厚さを増す役割を果していた。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/06/24 16:31

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