平和な時代に生まれて-終わりなき道の標たち- 公演情報 九十九ジャンクション「平和な時代に生まれて-終わりなき道の標たち-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    深く重いテーマであるが、分かり易い
    物語の内容がすぐ分かる、そんなチラシはインパクトがある。もちろんテーマは「選挙」と「平和」の問題である。近い将来に起きるかもしれない、そんな身近なことでありながら、なぜか飄々と描かれる作風...その少し距離を置いた演出は巧みである。時間軸を長くすることで、政治判断の是非は歴史が証明(審判)するような...。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    舞台セット...冒頭は大学のサークル部室内。白板には「軍事介入することから生じる無幸の市民の犠牲」「軍事介入しないことから生じる無幸の市民の犠牲」が書かれ、その功罪のようなことについて議論する。大学生らしい有・無為という2極という分かり易さ。マニフェストまで見える。
    大学生として、平和問題に対する関心。そこに50歳代の新入部員が加わり、実際自分たちの政策を実政治に通用するか。そんな若者思考が序盤の話。

    選挙、公職選挙法等の改正(選挙権年齢、18歳へ引き下げ)施行を機に、若者層の支持獲得へ。従来型の選挙活動(地盤・看板・鞄)を嘲るようにネット利用による政策浸透が効を奏する。今の選挙制度、システムに対する批判。特に投票率と議員世襲の問題は露骨に観せる。もちろん国政を始め身近な最小行政地の選挙まで自分の生活・暮らし向きに関わるのだから当然であるが。

    そして国政での政策実現に邁進する。そこには大学生の面影はなく、政治家としてのダークさも垣間見える。現実社会との折り合いが必要なことも透けてくる。そして掲げた「積極的平和主義」...20代で「軍事訓練義務」、中高年が派遣地状況によって徴収される「戦地兵役義務」という、世代ごとに責任と義務を負う。時限徴兵制・兵役義務が、国民に平等になれば逆説的に争いも減る、というもの。この世代間負担(義務)の考え方、今の年金制度に似ていると思うが...。

    この公演、深く重いテーマであるが、プロパガンダに陥ることなく、柔軟な笑いに包まれた上質な仕上がり。テーマは一目瞭然であり観客も自分で考えるということは承知の上での訴えであろう。今、描いておきたいという気持が十分伝わる。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/06/16 05:56

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