満足度★★★★
独特の表現が面白かったです
横光利一「機械」を元に展開する靴職人にまつわる話は、やや難しく感じる部分もありましたが、歯車に組み込まれたような社会の中で、他人より優位に立ちたい、誰かに認められたいという人間の潜在的な欲望や欲求から、嫉妬や怨念、不安や猜疑心といった負の感情が生じていく様がリアルに表現されていて、心の底まで深く掘り下げた独特の心理描写に人間の怖さや醜さといった別の一面を感じました。
そういった負の感情は誰しも持ちあわせており、故に社会から差別や貧困、暴力やいじめがなくならないのかと考えさせられる作品でもありました。
随所に登場する靴磨きのおじさんが、靴を見ただけでその人が歩んできた人生を言い当てることができ、靴にはこれまでの様々な出来事が刻まれているのだと思うと、大切な相棒に感じました。
「あまがさ」「機械」に続いて、また別の文学シリーズも観てみたいです。
2016/06/18 12:12
何か少しでも心に残る作品となれていましたら幸いです。
靴は人生の大半を共にする大切な相棒。
今回の作品では、靴によって役をかえていたので、
その靴をみるだけで、役のことを思い返せますし、
その靴をはくと、自然と役の気持ちになれます。
他の共演者の靴も同様に愛着があります。
まさに同じ舞台を共に歩んだ相棒のようでした。
次回の文学シリーズも頑張ります!
またのご来場心よりお待ち申し上げております。