らいおんの憂鬱 公演情報 ザレ×ゴト「らいおんの憂鬱」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    笑いに隠された鋭い問題提起
    本筋は(近)未来に実現しそうな宇宙旅行中の出来事である。その時から更に先の時代から或るミッションのために派遣されてくる人の活躍...ストーリーはループするような感じでそのラストシーンは観客の好みが分かれそうである。
    基本はコメディであるから小ネタにも伏線を張り巡らせている。近未来要素を少々詰め込みすぎちゃったよパワフルファンタジー、面白かった。

    ネタバレBOX

    300年先の世界からやってくる...その時代では宇宙環境が変化しており、「太陽」という存在がなくなる。いつまでもあると思っている環境、物質、生物などへの警鐘が鳴る、そんな問題提起を含む内容である。その大きく重いテーマを笑いという渦の中にかき消す。硬質に描くことが出来る内容であるが、そこは柔軟にすることで、観客一人ひとりが向き合う問題としてしている。

    舞台美術は、中央にサークル、その輪郭に沿って左右に可動する三角形の台座状の装置。舞台奥を少し高い位置にし、別次元(場所)をイメージさせる。そこは紗幕で蔽い鮮明に観えない分だけ距離感を表す。基本的にはサークルにある三角形の台座を動かし、操縦席やその他の室内演出をする。時空間移動を伴うが、分かり易い展開になっている。

    ストーリー中の挿話は、現代の社会問題そのもの。
    話は、300年前の宇宙(観光)旅行している宇宙船が危機的状況になることを知り、未来からその救助のために派遣されてくる。表層的には、その救助の過程における旅行客・乗務員の人間模様が描かれる。その危険な状況に陥る原因は、宇宙海賊船による緩い襲撃、宇宙環境(隕石など)による衝撃である。元々、海賊船の乗員がその労働対価に見合う賃金、労働条件の改善を求めるため、船体の機材(エンジン等)を売却し給料に充てる。実社会のブラック企業を糾弾するかのようだ。
    もちろん、環境問題も透けて見える。

    さてラストシ-ン...宇宙船からの脱出における新婚夫婦、親友、乗務員仲間などの人間模様が中心に描かれてきたが、その話がループするようで、悲喜劇が錯綜して終わる。この展開を悲劇にして余韻に浸るか、喜劇にし安堵して帰路につくか、観客の好みが分かれる。

    総じて若い役者で構成されており、躍動感があり勢いがある。また演技力に差が見られずバランスが取れていたと思う。その一方、役のキャラクターに個性がなく、誰もがどの役を演じても同じに見えるかも...。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/06/13 23:14

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