海底 公演情報 演劇研究会(慶應義塾大学公認学生団体)「海底」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ディストピア 花四つ星
     人々は、既に海底に住んでいた。日本の話だ。

    ネタバレBOX

    時代設定はいつとも知れぬ。或いは妄想の類ということでも構わない。だが、自分には、若者がしっかり目を開き、見たもの、聞こえてくるものに静かに耳を澄まし、情報の氾濫の中で見るべきものをキチンと見つけた上で自ら思考し辿り着いた、実態のあるもののように感じられた。
     自分の解釈を述べれば人々が海底に移り住んだのは核汚染から逃れる為である。水は有効な核フィルターでもあるのだから。ところで、海底に巨大な居住空間を作り、更に維持し続けて行く為には莫大な費用が掛かる。また、大きいとはいえ限られた空間内で子が生まれ、若者は老人になってゆけば、人口ピラミッドは、発展の形態から外れてゆき、生産性の落ちた老人たちの生命を維持し続ける意味も希薄にならざるを得まい。そのような状態のまま人口密度だけ増えていったら? 政治は何をするか? その答えの一つが今作で描かれている。描き方もちゃんと個人レベルを敷衍化する形を取っており、納得できるものだ。狭いスペースで余りにも声を張り上げ気味なシーンは何か所かあったが、この点にグラデーションを付けられれば、表現力は更に上がろう。極めて適確なシナリオで今後が楽しみである。

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    2016/06/12 02:21

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