点滅 second 公演情報 アロック・DD・C「点滅 second」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    花四つ星
     舞台は素舞台。ダンス公演だから当然である。舞台奥に出捌け口、これは大きな額縁のような作りになっていて黒っぽい色、昆布でも上辺からぶら下がるような感じで矢張り同じ色の布が垂れ下がっている。

    ネタバレBOX


     開演時、一人の男を客席側を除く三方から取り囲むように鏡を持った女たちが取り囲む。音響、適度な昏さ、三方から己の姿を映し込むように囲まれた男の慄きに満ちた表情などからいきなり能の世界に迷い込んだよういな気がする。というのも直後、死神と思しき者が入ってくると女たちから鏡を1枚、また1枚と受け取って奈落へでも受け渡すかのようにどこかへ受け渡してゆくのだが、男は小刀で頸動脈を切り自殺を図るからだ。能は霊界とこの世のコレスポンダンスを描くことの多い芸能である。今作の舞台も正しく冥界。即ち死んだハズの者が最終的に黄泉へ旅立つ前に滞在する場所である。男は、この霊界で三途の川で石を積む子供と子供の積み上げた石をその度崩す鬼の姿を見たり、祖母だと言う者に孝養を尽くしたりするのだが、祖母は、孫を生者の国に帰す為に仲間と語らって自分を刺させ、因果の鎖を解いて冥界から生者の国へ帰す。こ謀は成功し男は息を吹き返す。と其処には自死直前に与えられていたパンがあり、それを取り上げて食べる。無論、これは明喩である。死んだ奴は放っておけ、生きる者は先ず飯だ! くらいの意味と取れよう。
     あらすじは大体述べたとおりであるが、ダンスパフォーマンスなので、科白は、祖母が孫の名を呼んだあと若干、祖母の仲間たちがしゃべる位で殆ど無い。従って以上のストーリー展開は自分の解釈である。唯、このような解釈に至った理由は説明することができる。小道具に使われている短刀は、男が頸動脈を切る為に用いた物であり、祖母を刺したもこの短刀なら、何度か出てくる死と裏腹のシーンに出てくる刃物も総てこの短刀であるから、このアイテムは、冥界と現世を繋ぐ謂わば機織り機のㇶのような物と考えてよかろう。
     また、一種の夢と解釈することもできる内容であることから、その根拠を否定し、現実に冥界と現世の行き来をしたという物語の設定を補完する役割も兼ねていると思われる。
     これらの設定い奥行を加える為に、更に幾つもの仕掛けが工夫されている。例えば冥界で祖母の仲間が男に襲い掛かるシーンでは、死神と思しき者も登場する中、1人が出吐け口に使われている大きな額縁内に残り蠢いているのだ。目立たないが、殆ど科白零の物語に奥行を加える方法として効果的である。更に、開園後15分程もほぼ全員によるダンスパフォーマンスがあるのだが、暗転した時に死神役だけが、出捌けの額縁内に残っており、その後の再登場ではタイミングぴったりに出てくる。こういう細かい配慮が物語に奥行と深みを与え立体的で分かり易いと同時に広がり・深みを与えている。

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    2016/06/10 02:55

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  • 須貝さま
    ご参考になったということであれば、
    自分も大変うれしく存じます。
    今後ともよろしくお願いします。
    ダンスではなく演劇ですが、最近
    公共空間X:http://pubspace-x.net/pubspace/
    という所にもハンダラ名で書いています。
    よろしければご笑覧のほど。
               長谷川 明(ハンダラ)拝

    2016/06/11 01:42

    細部まで観ていただき演出家にとっては非常に嬉しい次第です。
    今後またこのコメントを参考により良い作品を作っていきたいと思いますので、お時間がありましたらまたぜひいらしてください。
    ありがとうございました。

    2016/06/10 13:37

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