大安吉日 公演情報 劇団芝居屋「大安吉日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    大安好日であった
    初日観劇...この日は陽気も良く、芝居も面白く、本当に「大安」で「好日」であった。劇団芝居屋の公演はいつも舞台セットがしっかり作られている。

    説明では北国の小さな漁村ホトマ村が舞台...そして民宿孝徳丸の談話室で繰り広げられる人情、というよりは兄弟ドラマである。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、上手に民宿玄関、その上部に民宿・孝徳丸の看板。客席と舞台との間にスペースがあるが、民宿前の道といったところ。もちろんこの場でも演技が行われる。民宿内は上手に受付・帳場、中央奥に風呂場・食堂に通じる出入り口、その横に二階客室への階段が見える。下手は談話用のテーブル、椅子。いくつか釧路市のポスターも貼られている。

    小さな漁港を見下ろす高台に民宿孝徳丸...その名前は女将の亡き夫(漁師)が乗っていた船のもの。この地は観光名所でもなく、ただ時の流れが緩やかで癒しと海の幸料理が自慢である。そして源泉の温泉。

    市井の人々、といっても地元が中心である。この宿泊客2組(どちらも女性一人旅)がこの物語で特筆だと思っている。
    中年女性は義母の介護、その看取りを通じての人間らしさ(個人的にはこのシーンにハマった)。一方、女性の旅行ルポはその職業を通じての見方・考え方の表現が巧い。釧路市というと観光事業で「ふるさと創生」を利用したような。さらに漁業人口の減少を漁業研修として問題提起する。そこには地元(Uターン Iターン)に目線を向ける。
    この観光や漁業という地域活性を想起させるような、鳥とは言わないが、小さく羽ばたく蝶のように高みから見据える。一方、介護も含め日々の生活に汲々としている人を地を這うような虫となって見守る。社会と個人(家族)…民衆を複眼的に見る視点が印象的である。

    本筋の兄弟の確執…誤解と思い遣り、父の死に対する悔恨の情が痛々しい。その複雑な感情が氷解する様子は、観応え十分である。

    演技力は皆さん見事。バランスも良い。劇団は「現代の世話物」の創造を目指し「覗かれる人生芝居」というコンセプトの下に役者中心の表現を模索しているというから当たり前か。それにしても、民宿女将・常盤孝子役(永井利枝サン)、地元爺さん役(増田再起サン)の演技が光る。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2016/06/02 21:33

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