ORPHANS / 希望荘にて 公演情報 GROUP THEATRE「ORPHANS / 希望荘にて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    希望荘にてを拝見
     戦場カメラマンの小松と山本は、自分達が撮っている戦場の悲惨な写真現場の余りの悲劇に心を痛めいつか被害に遭った子供達が、何とか傷を癒し明日に向かって旅立てるような施設か、笑い合って共同生活を送れるような生活空間を立ち上げたいと思っている

    ネタバレBOX

    。そんな戦場撮影の中で、親を殺された子供を銃撃をかい潜った山本は助けた。
     結局、小松はその後社会で行き場を失った若者達を集めて集団生活を送れるような空間を創設した。1年間に限り家賃は無料。但し週5日間は共同農場での野良仕事を皆でやり各々の自立の道を探すという訳である。
     作り方で面白いのは戦場撮影の場面の後、話はこの共同空間に直ぐ移っているのだが、此処には小松と山本が居て、この施設は二人で立ち上げた、という内容になっているのだが、この話は二幕では小松の妄想という具合に転化されて、小松がこの施設にやって来た理由が述べられる。それは、この日本社会への非難でもある。匿名性を武器に何の根拠も事実の確認作業もなく、実際の出来事は何一つ知らず、事情や背景も知らぬまま、唯面白おかしく白眼視して見せることで、真実とそれを知る者を社会的に抹殺してゆく。この頭を欠いた百足のような、鵺のような、異端者を徹底的に排除する村社会の論理に対する批判は正鵠を突いて見事。この時の迫真の演技も良い。
     元カレのDVに耐えかねてここに逃れて来た希美を巡り元カレが舎弟を引き連れて取り返しに来る訳だが、ここで新たに芽生えた恋に対して小松も他のメンバーも、外界へ新たに目を向けるきっかけになり自立への萌芽として描かれている点、ナイフを抜いて向かって来る元カレに対して、如何にも元戦場カメラマンらしい度胸の据わった対応、何も分かっていない癖に甘ったれたガキに対する紛争地経験者としての怒りの正当性をその背景に匂わせている点でもグーである。

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    2016/06/02 04:07

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