優しい嘘 公演情報 劇団俳協「優しい嘘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    安心して観られる優しさ
    某富士見町にあるスナック「消しゴム?」が舞台。俳協らしくしっかりした舞台作りで、物語の外形を成す。この公演の印象は一見ドタバタ騒動の連続であるが、そこには市井の人々の坦々とした暮らしや感情が観て取れる。

    何だかおもしろくない、いらいらむしゃくしゃする...そんな感情を伝える言葉として「口惜しい」「怒り」を用いるが、必ずしも一致しないだろう。言葉からこぼれ落ちていく感情は実際多くある。言葉が先にあったのではなく、言葉にならない溢れるような感情に言葉を当てはめたようなもの。

    この物語はこのスナックど育った三姉妹(香織・詩織・早織)とこの店の常連客が織り成す心温まるドラマ。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、上手にカウンター、下手にソファー、カラオケ装置。もちろん劇中客としてカラオケを楽しむシーン(冒頭からデュエット)もある。このスナックがある街はシャッター商店街と言われるような、昔ながらの小店が並ぶような風景を想像する。この店は、先代ママ...姉妹の母が経営していたものを長女が引き継いでいる。この母は奔放に生き、男との関係も派手であったようだ。何しろこの姉妹の父親はそれぞれ違うという。その母が亡くなる時の”最後の言葉”が、このタイトルに繋がる。

    膨大な思いとは、愛情、憎しみ、感謝、驚きなどであり、その生きる過程に存在する。そこに肯定や否定はあろうとも、まぎれもなく人の感情が動くし、会話も生まれる。どこかで聞いた、人に向かって「悪口」を言わない人...犬だか猫に暴言を吐いているからだそうだ。その おかしいようなありがたいような思い遣り、ひとつの言葉に押し込められない感情はある。しかし、その感情を押し殺した言葉...「あなたたちを生んで良かった」は心に沁みる。

    長女のこの店に対する思い、次女の母の死がこの店(家)を出るきっかけになり、三女はOL生活。それぞれに抱える悩み...長女の娘は大学進学を止め漫才師を目指す。次女は怪しげな男を連れて突然帰ってきて不穏な動き。三女は職場の人と不倫関係。この姉妹と常連客(コンビニオーナー店長、文具店主、高校教師)の恋が絡む。その描き方はコミカル、コメディで笑える。そしてラストはホロリとさせる。

    亡くなる直前の母の本当の言葉を知ったら...その思い遣りこそ長女の「優しい嘘」なのだ。その庇護に妹たちは生きる。先に戻るが感情をすべて言葉にしきれないが、言葉(嘘も含めて)で感情をコントロールしているのかもしれない。

    脚本、演出はもちろんであるが、役者陣の演技は観ていて安心できる。それほどキャラクター作り、バランスの良さ。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/05/31 05:57

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