笑う数学者 公演情報 ZIPANGU Stage「笑う数学者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ミステリー・コメディ!...堪能
    ミステリー物語は、その謎解きの面白さそのものが、芝居の面白さを左右する。その意味でこの芝居は、刑事や名探偵が登場せず、大学教授がその専門分野である数学を用いて謎を解いていく。その過程に、数量化できない「恋」という可変要素が入り込んだドタバタコメディは観応えがあった。
    少しネタバレになるが、数学が苦手な人(自分)にも、「数」の不思議な魅力について説明する。それが「素数」という、1とその数以外に約数がない正の整数...2・3・5・7などであるが、その意味するところ、すなわち代替がない。何だか恋愛における愛しい人を指すようで魅力的な響きがある。
    そして感情が思考を妨げる…含蓄あるなぁ。
    上演時間1時間50分

    ネタバレBOX

    この公演、豪華な一室を作り込んだ舞台美術が素晴らしい。全体内装は重厚感溢れ、上手はソファと椅子、暖炉。その壁に館の絵が飾られている。下手はリビングテーブルと椅子、さらにはBarのようなスペース。上手・下手の両方に出入り口、他の館へ通じる廊下があるという設定である。このセットを外形とし、物語の展開をさらに鮮明にしている。

    梗概は、財閥であった菱岡家が所有している孤島にある別荘で起こる事件。物語はコメディ仕立であっても殺人事件が起き、その謎解きという王道のような展開である。孤島であるから一種の蜜室殺人。ミステリーの筋や、ましてや犯人を書くなど論外であろう。再演するかもしれないので...。
    ちなみに、登場人物には数を連想させる名前(双葉、緑朗、奈菜)が付いている。素数のうち7は、仲間がない孤立な存在として説明された。数学者が惚れた女性は奈菜...。

    物語の全体的な流れの中では些細なことであるが、気になる点がいくつかある。
    ① なぜ長男でなく、その娘(孫)が来るのか?遺産相続の話である以上、金銭的興味がなくても来るのではないか?
    ② その代わりのように、なぜ大学教授(指導教官)が来るのか?
    ③ 奈菜と相思のようになったが、その思いを断ち切るかのような行動は?

    説明があったかもしれないが、覚えていないくらい印象がない。それが本筋の謎より恋愛の謎に興味を持ってしまう。人の心は謎だらけ、ということだろうか。
    これらを体現する役者陣のデフォルメした人物造形は魅力的で、それだけで楽しめる。またバランスも良く、観ていて気持ちがよい。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/05/22 00:45

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