幕末異聞 人斬りの恋 公演情報 (有)Yプロジェクト「幕末異聞 人斬りの恋」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    史実をベースにした秀作
    史実をベースにした日本人のドラマ。幕末における人斬りと呼ばれた男たちと京都の遊郭花魁たちの男と女の悲しい話でもある。上演時間2時間30分(途中休憩なし)であるが、場面転換の妙や役者の演技力によって飽きることなく観ることが出来た。武家(侍)社会の終焉という時点を明治10年(1877年)の西南戦争(役)に位置付けており、何故その時なのかを意識させる見事な脚本と演出であった。学問的な検証ではなく、芝居という見世物としての帰結。日本における内乱は、これを以って最後になる。逆に言えば約140年前迄は、日本人同士が戦っていたことになる。

    この公演、まず衣装の予算が気になるほど素晴らしい。舞台、基本は段差があるだけで、場面に応じて小物等が配置される。段差の奥に疎らに立つ板状のもの。自分には何故か卒塔婆のように思えてならない。その武士の魂、時代を経た現代日本に甦るときも...。

    ネタバレBOX

    時代背景は、幕末の京都で佐幕・倒幕派が互いに人斬り集団を作り暗躍していた時のこと。その代名詞となる新撰組と薩摩の人斬り半次郎こと中村半次郎(後の桐野利秋)と黒田又右衛門(佐藤伸之サン)を登場させ、この時(明治維新前)から西南戦争までの約10年を描く。そのベースは、現在伝えられている史実に沿っている。この史実に華を添えているのが、又右衛門と亡き牧野新三郎の妻・朋江(上杉美浩サン)との淡い恋心、さらに京都遊郭花魁たちとの遊興であろう。この花魁=(女)は、当時の社会の底辺であえぎ生きている、または市井の代替として描いているようだ。武士(男)の生き様は、その志のための死に場所を探している。
    この日本人の生きる、または死するという魂の彷徨を激動の時代に当てはめて勇壮に描く。その観せる魅力は、もちろん殺陣シーンであろう。その迫力は半端なく見入ってしまう。

    新撰組、その中心人物に近藤勇・土方歳三・沖田総司ではなく、斎藤一(3番隊組長、維新後は藤田五郎と改名)を登場させている。実は西南戦争に参戦している記録があり、佐幕・倒幕という立場が逆転して政府軍・賊(西郷)軍として会いまみえることになる。又右衛門の死が侍の世の終わりであることを告げる。

    パンフレットにある役名(役者)は多いが、本筋を牽引する役名はそれほど多くはない。遊郭花魁の華やかさを演出するアンサンブルなど、芝居を観(魅)せる工夫のように思える。

    現代日本...特にスポーツ観戦において、「サムライ日本」「サムライ魂」などの言葉を見聞きするが、その精神は時代を経て今に伝わる。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/05/21 23:15

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