アンドロイド・エデン 公演情報 夢幻舞台「アンドロイド・エデン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★


     近未来、心を持つ人間として再生されたイブは悪夢に魘されて目覚める。

    ネタバレBOX

    とそこは、エデンと呼ばれる集落。住民はアンドロイドであった。というのも、イブが再生される以前、心を持ち人間と同じように思考し判断すると信じたアンドロイド達が、人間に使役され続けることに疑問を持った為に氾濫が起こり、終には人間対アンドロイドの戦争に発展した。部品さえ調達でき、工場があればいくらでも作れるアンドロイドは、戦闘能力を有するまでに十年以上の歳月を必要とする人間に負けるハズもなく、8年後、人間は滅んだ。
     元々、人間の生存していた時代に、初期型オリジナルの単体として製造されたイブは、初期型としての記憶も埋め込まれていた。それは、自分達を創造したのが人間だという記憶である。
    一方恐らく人類滅亡時、損傷した部位をサイボーグと化し、脳以外は殆ど機械の体を持つ天才科学者が、人間が死に絶えた後、人間の再生を願って作り上げたのが現在のイブである。(その記憶には初期型オリジナルアンドロイドとしてのイブの記憶も転写された模様)
    ところで人間を滅ぼした後暫くはアンドロイドも平和を保っていたが、やがて格差を作り差別を作り、収奪する者とされる者に分かれて争い合うようになった。その姿は恰も人間そのもののようであった。基本的にプログラム通りに行動するアンドロイドには、バグ以外に行動を変える要素は無い。自分達に心があると信じ、自分達の心を守る為に戦ってきたハズが、人間が滅んでみると錯覚であったことが分かった。だが既に遅かった。戦闘用にプログラムされたアンドロイドを支配するイデオロギーは“力こそ正義”である。そのイデオロギーに合致しない者は総て敵、自動的に戦闘が際限も無く繰り返されることとなった。
     エデンはこんな状況にあって比較的大きく平和が保たれているコミュニティーである。従って時々、外敵に襲撃されることもあった。ある日、そんな外敵が陽動作戦を使って襲ってきた。戦闘要員たちは、罠に嵌る。安全だと考えられていたエリアに残っていた非戦闘員のイブは、潜入してきた戦闘アンドロイドに銃を向けられるが彼を折伏してしまう。だが、丁度そこへ戻って来た仲間の戦闘アンドロイドは、銃を床に置いていた敵を後ろから撃ち殺してしまった。自分の説得に応じ、平和を願って銃を下ろした敵が殺されてしまったことにいたく傷つくイブであったが、仲間の必死の謝罪と自分のできる範囲で自分の守れる者を自分のやり方で守るというスタンスに同意。仲間と共に戦場に赴き、傷ついた者らを確保しケアすることなどを通してコミューンに貢献していたが、コミューンが大きくなるにつれ、非戦闘員の比率が高くなり過ぎ、最早現在の戦闘員だけでは皆を守り切ることが出来なくなった時、戦闘リーダーは、イブが共同体から出ていくように説得する。互いにコミューンを愛し、それぞれの方法で守り拡大してきたのだが、その限界が露呈したということでもあった。折しも、最強のコマンドがエデンを狙って襲撃してきた。その名をカイン。オリジナルの単体で自分達が心を守る為に戦い始めたのに、人間を殺し尽くした果てにアンドロイドは本当は心を持っていなかったことに気付き、それらの記憶がバグを起こす原因となる為、記憶を封印して下意識に追いやり、ずっと抑圧して表向きは忘れ去っていた。だがこの事実をイブに指摘されて思いだし、錯乱に追い込まれてしまう。カインの弱点は。恐らくこの点のみ。彼は戦闘から脱落の憂き目にあう。
     イブ、そしてエデンの戦士たちは、この後、平和で友好的な世界を築くことができるのか?
     重大な箇所で、心の無い筈の増産型戦闘アンドロイドが、イブの安全保障論に心を動かされてしまうことが、大きな瑕疵ではある。然し、現在、アーミテージレポートの要求通りに日本を改悪してゆく安倍政権と労組を含む経済右翼、為政者に対して若者が必死に純粋に平和とそれに伴う多くの無くしてはならないものを守ろうと立ちあがる姿勢に、心を撃たれる。若者のひたむきな姿勢が、実に良い。

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    2016/05/09 02:43

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