DADDY(増席しました!) 公演情報 TEAM空想笑年「DADDY(増席しました!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    旅立ちの季節…【こどもの日 観劇】
    幅広い客層が楽しめる、そんな丁寧で分かり易い物語である。それは、ある街の自転車屋(オカモトサイクル)の家族と近所に住む人たちのヒューマンドラマ。この市井の日常生活...それだけに大きな事件・出来事もなく坦坦とした展開である。そして説明にある家族に起こった出来事も仄々としたもの。観(魅)せるという芝居としては、物足りないかもしれない。フィクションとして芝居、その意味でもう少し盛り上がりがあって印象・余韻が強くてもよかった。

    そして確認は出来なかったが、気になることが...。

    ネタバレBOX

    舞台セットは見事に作り込んでいる。この美術を見ただけで丁寧な公演作りであるという好印象。セットは中央奥に両開きの襖(後ろに和紙「希望」が貼られている)、客席側がこの岡本家の居間・卓袱台(和室8畳ほど)、そこに食器棚・和箪笥、その上に仏壇、壁には神棚。上手には電話台・TV・掃除機が置かれている。その上手に引き込み口(張出しセット)が自転車屋の店内になっている。下手も同じように張出したところに台所(流し、冷蔵庫など)。カレンダーは2011年4月。このセットにある小道具はほとんど使用する拘り。自分が観た回は神棚だけが利用されなかった。

    この家族は、父(母は亡くなっている)、3男・1女という構成である。カレンダーには4月20日に娘・真知子(篠崎友里サン)が婚約者を連れてくることが書き込まれている。

    梗概は、自転車屋「オカモトサイクル」、 家を飛び出したきり連絡が取れなかった次男が10年ぶりに帰ってきた。 その日は、娘の婚約者が家に来る日だった。 娘の結婚を認めたくない父。 近所のラーメン屋や子供達の幼なじみも巻き込むドタバタが楽しい。 そして現れた婚約者の口から、思わぬ言葉が...同居します。

    登場人物は全員が善人。その夫々の家族なり近所の人への接し方が不器用なだけである。そこは観ている観客(自分)の姿に重ね合わせて苦笑するところもある。その思い遣りの表れを「良かれ」という台詞が光る。相手を思っていることは当事者にも分かっているが、それが時として善意の押し付けのように感じる。それだけに始末が悪い。

    さて、気になるところ...自分は最前列中央で観ることが出来たから気にならなかったが、上手の店内、下手の台所のシーンは、後列のそれぞれ上手・下手の客席から観えたのだろうか。見切れになっていないか。もちろん対角にあるシーンは観えるであろうが...。

    この劇団の代表である武倉創太郎氏が、「今回のテーマ『変化』。恋愛、就職、出会い、別れ、そして結婚・・・いくつもある、選択の時」...を芝居では、子供達の思いの告白・自立(旅立ち)として描いている。ハイライトは、1年後(カレンダーは2012年5月になっている)父と娘が歩くバージンロード。ただし、1年間の季節の移ろいはなく、エンドへ繋げるだけ。
    時代・環境・状況の変化はあっても家族の絆、近所との付き合いは温かく続きそうな、そんなハートフルドラマは微笑ましく、ちょっぴりセンチメンタルになる。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/05/06 00:25

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