満足度★★★★
脚本・演出は良かった…
4月は入学シーズン...小学校の新1年生の心細さ、親に引かれた手を離して他人の中に入っていく幼子も試練をくぐり、親も手を差し伸べるところをグッとこらえる覚悟が必要。その親子の距離は永遠の難問であるが、その距離こそが自立の証と思えば心強い。
この公演では、その親子(父・娘)、というよりは自立した人間同士の魂の咆哮のようである。
冒頭は、古典的なフィルム・ノワール(退廃的な犯罪画)のように、善・悪という鮮明な対立軸で描かれるような感じであったが、そんな単純な捉え方ではなく根底には人の幸福...特に経済的な貧富の知覚が絡むもの。描き方は、表面をなぞる空っぽな表現から段々と訴えたい本質に迫る、その展開が実にシャープにしてスリリングである。そして最後まで観客(自分)に予想をさせない、むしろ予定調和ではなく予想外な展開に驚いた。怒涛のラストシーンには高揚し鳥肌が立った。