慙愧 公演情報 643ノゲッツー「慙愧」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    表層に潜む怖い話
    慙愧(ざんき)という言葉は、日常生活ではあまり聞かない。国語辞典によれば「恥じ入ること」という意味らしい。公演の説明には、その場面のことが書かれていたが、そのシーンは芝居の脇筋のようであった。

    この公演はコメディの様相であるが、底流には現代社会における怖い面も垣間見える。「三人成虎」...三人が虎がいると言えば、本当に虎がいるような噂になる。公演でも根拠が明確でないにも関わらず、その場の状況・雰囲気であらぬ疑いが…。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、今は使用していない教会内。両サイドに長椅子が並べられ、同じようにステンド-グラスの窓。中央に赤絨毯、その奥に両開きの扉がある。

    梗概は、人気ドラマの愛視聴者(男・女三人の計6人)が集まって、そのお気に入りのシーンを演じて楽しんでいる。そこに強盗犯(40歳男・独身、親の介護のため不定期なバイト生活)が入り込み、この人達との会話を通じて心を通わせて行く。いつの間にかこの闖入(者)が契機になり、段々とこのメンバーの素顔・素性が明らかになっていく過程が面白い。この人達が集まるキッカケは、インターネット(Facebook、Twitterなど)を通じて知り合う。誰が発信元か、その詮索・犯人探しが始まる。
    本名や職業などは自己紹介(申告)したままである。そこに多少の顕示欲や虚栄心が生まれ、一方その虚実を暴こうと眈々と窺い、真(生身)の姿が露呈していく。

    表層は、劇画化した漫画のようで気楽に観ることが出来るが、その奥底は不確定で不安定で心もとないバーチャルな世界。その浮遊した感じがインターネットの怖さを柔らかく包み込む。
    さて脇筋、闖入者が下着泥棒と間違えられるが、この挿話はこの人気ドラマの失踪した主人公(恋人同士、しかし実際には登場しない)の痴話喧嘩の結果であることに繋がる。少し強引のような気がするが...。

    舞台技術(照明や音響)による余韻、メリハリが感じられなく、演技(役者陣はキャラクターを立ち上げ、バランスも良かった)に頼った公演という印象になったのが残念。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/04/27 07:15

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