満足度★★★
不条理劇?
「不条理劇」というものの定義は?
私にはよく解らないのだが…。
この芝居は、むしろ、精神的なオカルト劇或いは「統合失調症」を題材とした芝居に思えた。
主人公は、完全にそんな症状だし。
そこに起因するのは、やはり戦後の悲惨な時間だろうか?
「マッチ売り」という特殊な体験に続く客たちの”性”のギラつきに壊された少女の精神。
また一方では、平和を装う夫婦の中に存在する忘れ去りたい過去。
それらのカルマが渦巻いている作品に見えたが…。
どちらが加害者でどちらが被害者なのか?双方共が加害者であり同時に被害者であったのか…。
戦後政治は暗黒部に蓋をして、表面的な安穏さを演出したに過ぎないのではないか?
不条理劇と片づけられない何かをとても感じた。が、それを巧く言い当てられない。
戦後の現代社会は「統合失調症」を患うことによって別の新たな社会を創造したに過ぎないのではないのか???
今まさに起きている<おれおれ詐欺><子殺し・親殺し><引きこもり><バーチャル空間への逃避:スマホ依存症やゲーム中毒>
蓋をしたはずのカルマが覆い尽くそうとしている今。
そう思うと、これは重大な啓示を伴った作品なのかもしれない。