満足度★★★
モチーフという足枷。
傭兵集団・クロムモリブデンに相応しい円形初陣を想像していた。
が、早い段階で戸惑いに変わり、それをリカバリできずに終演を迎えた。
空間を圧倒的に支配する劇団員のパワーが、空しく拡散していたように思う。
TOPSの時に何となく危惧していたことが具現化してしまった。
しかしながら、劇団員ひとりひとりの魅力を確認できたことは事実だ。
先程と矛盾するようだが、それぞれのパワーをばしばし受けることができた。
いつもは、集団と個人のパワーが両立する。今回は両立しなかった。
たぶん、そういうことだと思う。
物語はモチーフがくっきりとしてしまったので、手放しで楽しめなかった。
別に現実の事故を笑いという形で昇華することに異論はないし、歓迎する。
ただ、具体的なイメージがあればあるほど、“飛ぶ”ことは困難になる。
少なくともこまごめはうまく“飛ぶ”ことはできず、彼らを見上げていた。
青木秀樹の言葉を借りれば、「早かった」のかもしれない。