カゲキ・浅草カルメン 公演情報 劇団ドガドガプラス「カゲキ・浅草カルメン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    元気でた~
    軽女(カルメン)を中心として物語を引っ張る三義兄弟は、幕末という時代に翻弄された傾奇者もしくは弱き立場の者。この者たちが実に魅力溢れるように描かれる。それを更に引き立てる周りの人々。

    少しネタバレだが、ここ浅草東洋館は浅草弾左衛門が仕切っている。日が当たらないような立場の人々から見た幕末という時代。そこには、今までの常識が非常識になり、非常識が常識に変わるという不条理がまかり通るが、それでも逞しく生きる。そして単なる”愛”という言葉では片付けられない、耽溺、愛欲から肉欲まで激しさを増していく男女の仲。破滅的で救われないような恋々、それでも軽女のしたたかで芯の強さの先に希望が見えたが...。

    ネタバレBOX

    幕末時代、国内外の社 会情勢(黒船来航、清国・アヘン戦争など)を背景に、江戸市井、いやもっと場末での人々の生き様、さらには破天荒な耽溺(薬物)愛。その結末は、小説やビゼーの歌劇「カルメン」を準えるもので哀切を感じる。「人を憎んでいる時が幸せ、亭主より”色”」、その刹那的な台詞が心にしみる。

    吹き溜まりのような場所で、もがき苦しむ、それでも生きる者達の奇想群像劇。その観せ方が、世情に疎い人々にも言い聞かせる、そんな場面(禁制の肉なべ)をさりげなく織り込んで、いつの間にか絢爛豪華な物語を紡ぎあげる。極彩色に相当するのが、劇団の特長である優美・耽美・エロチシズムが漂うダンス・パフォーマンスである。

    その舞台セットは、昔写真で見た遊郭の花街、色街にあったよ うな家屋、その建築様式は唐破風の曲がりがある。こうした屋根は、ここから先は「極楽浄土」(他に銭湯、霊柩車にも見られる)の世界か。その夢(ユメ)か現(ウツツ)の不思議感覚が芝居内容と相まって脳裏に刻まれる。他の公演同様、上手に螺旋階段や客席側から登場・退場するという臨機応変なスタイルが躍動感を生み出す。もちろん、歌、ダンスの時の音響・照明技術は効果的である。

    最後に演技、特に軽女カルメン(ゆうき梨菜サン)の妖艶、獏連(バクレン)振りは迫力あるが、それでもチャーミング、千愚鈍=ドン・ホセ(的場司サン)の薬物に侵されながらも一途な恋慕、浅草弾左座衛門(小玉久仁子サン)の強欲・慈悲という両面を持つ、その3人三様のキャラクターの立ち上げ、その演技は圧巻であった。

    次回公演を楽しみにし ております。

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    2016/02/23 00:13

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