ルルドの森(平成28年版) 公演情報 バンタムクラスステージ「ルルドの森(平成28年版)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    迷宮のその先に。
    人間の冷ややかさと温かさをヒリヒリと感じる舞台でした。賞賛と共にアリかナシかの物議を醸すというのも納得の、戦慄さが流石。
    宣伝コピーの
    『あなたの目の前で、予測不能の恐怖がはじまる。』
    というのが、ズバリその通りでした。
    真相へ向けて、ゆっくりと、時に急激に、事態が展開していくので目が離せない。

    良い意味で演劇的怪物しかいない作品。
    バンタムの劇団員4人は勿論好きですが、客演で田中良子さんが出るというのが今回のとても大きい動機。シリアスなシーンで捲し立てたり、じんわり話したり、纏う空気を一瞬で切り替えるのが大好き。お姿も美しい。絡みの多い早田さんが羨ましい。
    6C藤堂さんとさゆりんの組合せが絶妙。とある演出ギミックの所で、うひょー!となる。相当苦労したのではなかろうか…。昼公演はこの2人が前説登場でラッキー!
    緒方さんのイライラ感の表現とか良かったなぁ。心の底からイライラしているとこと、ちょっと心配が根底にあるとこと。
    ガラさんと上杉さん。お二人の滲み出る存在感が上質。ガラさんの、冷静に居ようとするのに隠せない熱さというか人情。上杉さんの、職業が染み付いた感。
    奥田さん・清水さんの熱のない熱演(見た人には伝わると思うのだけど…)。若いのに良くできるなぁ、と感心するばかり。
    教光さんは陰を持つ役だと本当にゾッとしてハッとする。人間らしい場面との温度差よ。シーツの場面の声、役者として幅の広さを感じます。
    対を成す役だった西川さん。ゲキバカの方なのね。真実に一番近い存在となっていくのに、どこか飄々としている役が素敵。本について語る辺りも良かったな。
    どうしてそんな役で早田さんが出てくるの!?と最初にシーンでは思ったけれど、話が展開すると、これは早田さんだわ。って納得。深い。背負ってるものがいろいろありすぎる。
    同様に沖田さんもどうしてその役!?って思ったけど、一周回ってハマってた。出てきて一言二言でキャラが伝わるしね。
    結束さんが、あまり見ないポジションだったので新鮮。バンタムの新入り、大変ですね。でも、愛されてますね。Tシャツのデザインも手がけたそうなので、ぜひ物販を見てくださいな。

    バンタムさんは、舞台セットと照明と音響が素敵。透けて見える感じとか、無駄に凝ってる格子とか、好き。時制と場所が分かる明かり、世界に引き込む音楽。計算高い。

    そして、制作さんがスマートにスムーズに仕事をしているのが良いです。その時に客が知りたいことを的確に発信してくれてる。

    ネタバレ回避しながらだと書けることが限られるけれど #ルルドの森 はネタバレ無しで見て欲しい。そして2度見たくなればいい。そうやって伝染していけばいい。
    終わった後に検討会をしたくなる感が、映画「ストロボライト」に近しいので、ストロボライターは来ないと損ですよ(笑)。

    ネタバレBOX

    最後の場面で、あまりもテンポよく真実が見えてくるので、初見の状態では、
    え?
    ええ!?
    えーーー!!!
    ってなって、頭の中が整理し切れなかったことも事実。
    後から思い出して整理して、
    ああ、うん。なるほど。
    となった。

    とは言え、あのテンポ感は失えないので、多少の取りこぼしを生じてもあの展開で正解なんだろうな。

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    2016/02/21 22:36

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