満足度★★★★★
帰り道のニマニマが止まらない幸せ
素晴らしいダンス公演を観ると帰り道のニヤニヤが止まらない。優れたダンサーはみな、髪の先から足の爪までが踊っている。神経が末端までピリピリと音を立てながら信号を受け渡している。高揚する。温かくなる。●ダンス、美しい肉体、衣装、コトバ、音(吐息、音楽)、映像、光、小道具(鏡のような銀幕、レースのような長い…ベール?)全てが融合して生まれる、まさに総合芸術。ずっと観ていたかった。幸せな時間。●長谷川風立子さんの脚のなんと美しいことか。彫像のようだ。ざっくり開いた背中の後ろ姿は肉体の美の極致。優れたダンスは速さで誤魔化さない。あの体幹に裏付けされた緩急の術。吐息もエロティックだった。●梶本はるかさんの左右対称の美。いや、対象が対称でない美があった。勝手に人間の誕生のようなものを感じた。母にも、誕生した子供にも見えた。片足での連続技に頭がシビれて、クラクラした。●三輪亜希子さんの声。リフレインする言葉、5つのプロジェクターから壁や床に映し出される映像にシンクロするダンス。錦鯉にも孔雀にも見えるベール。激しいラップ音。内に秘めた激情がほとばしる。●青と赤の交わりが、まるで幸せと悲しみや、現実と虚構、過去と未来のよう。そして、進化とともに陸に上がった人間が海へ帰って行くようにも見えた。あの日のコトも?●四人のダンサーが、曲線は美しいということを、そのしなやかな女性のカラダで証明してくれた。そして、しなやかであることは、強さであることも。オトコが叶うものではないことを再認識させられた。幸せだ。