満足度★★★★
古今東西の女性の嫉妬と悲しみ
最近は不倫、二股という話題が世間を沸かせている。女であることに泣く人もいれば、それを利用して名前を売るような...現代は女性も社会で活躍してきている。この公演は能楽としての「野宮」「葵上」「夕顔」をモチーフにしており、その原作となるのは「源氏物語」である。
ところで、この有名な物語は何人かの現代作家が現代語訳(小説)にしているが、残念ながら自分は通読したことがない。今回、源氏物語の主人公である”光源氏”の若かりし頃を中心に描いているという。その恋愛模様と共に、その当時(平安時代)の貴族の生活振りも垣間見えて面白く拝見した。
当日パンフに「月花抄」で取り上げた「能のあらすじ」、「謡」と「現代語訳」が記されていた。そこには詳しい説明・注釈がある。
なお、この能演目を副題にしているが、演出の幸田友見 氏の挨拶文によれば”現代劇”であるという。それでも当時の雰囲気をいかに分かり易く表現するか工夫(現代に通じる所作、台詞使いなど)していたようだ。その但書が「この作品は時代・原作考証等を行っておりますが、作品の性質・演出上、敢えて考慮せずにいるところがある」と注釈がある。