満足度★★★★
人間的視点と社会情勢
ブラジルであった、実事件をモチーフに描いたようなサスペンス劇。
当日パンフに劇団Ammo代表の南慎介 氏が今回(本公演)はある、矛盾の話...と記していたが、さらに根深い不条理のようなものが感じられた。
この公演は、観客の視点を自然に転換させる巧みな観せ方が見事。冒頭の凶悪シーンから物語が進展するにしたがい、いつの間にかストリートチルドレンの側に立ったヒューマニズムを思わせるような...。人間の中に潜む狂気のような感情と、そうならざるを得ない政治・社会情勢を上手く融合させる手腕が素晴らしい。
描くは、今の日本では想像し難いため、異国の地の出来事としつつも普遍的に感じるであろう、「富裕」と「貧困」の間で現れる人間の本性を...。