満足度★★★★
大森茉莉子さん渾身の一人芝居『肥後系 雪燈篭』
物語の終わりに、語り手がいったい誰だったのかわかったとき、奇妙な恋が確かな実を結んでいたことを知り、そして、その命を育むことが奄龍の恋の成就だったのだろう、と感じられた。
南国に降る雪。雪模様の燈篭。雪輪柄の着物。毎回のことだけれど、アヤメの品種からとられたタイトルを、どうしてこれほど活かすことができるのか、不思議に想ったりする。
加えて、言葉ひとつひとつのチョイスの確かさと、積み上げていくディティールの説得力。眼で味わい、耳で楽しみ、鮮やかなイメージが、余韻を残す舞台。
渾身の一人芝居と見事な生演奏にがっつりのめり込む約1時間。演じ手に合わせた脚本や演出も堪能した。