テノヒラサイズの人生大車輪'15 公演情報 テノヒラサイズ「テノヒラサイズの人生大車輪'15」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    初見…面白い
    初見の劇団、すでに関西では実績があるという。その劇風は、独特の切り口でのスピーディなストーリー展開と印象深いキャラクター作りに定評ある座付作家が織りなすものらしい。チラシには「パフォーマンス・コメディ」と呼ばれ、この劇団の新スタイル演劇とある。奇跡の90分!と記しているが、実際は105分のコメディである。
    この公演、2014年(第26回)池袋演劇祭大賞の劇団ショウダウンの鉾木章浩 氏の名が制作にあり、前評判も上々であり再々再演という。
    その内容...結末からすると、物語に対して疑問も残るが、パフォーマスという観点から見れば肯ける。その思いは作・演出のオカモト國ヒコ 氏が当日パンフの挨拶文にある(句点はあるが、読点はない7行の長文)。
    この演技(身体性)は、リアルをデフォルメしたような面白さがある。今回は劇団員5人にTVドラマの久野麻子サン(スイス銀行)、所属劇団の看板女優・榊菜津美サン(アマヤドリ)を迎えたという。その芝居は堪能できた。

    ネタバレBOX

    物語性を重視した場合、その結末から「何で」という疑問が残るシチュエーションである。何故か地下室で椅子に縛り付けられている、”男女7人冬物語”。その人達は、監禁される理由を認識しているようであり、触れられたくない過去を解き放つことで、共通した接点を探ろうとする。

    それはジグソーパズルでピース(人)をはめていくような感じである。個々のピースの形は確かであるが、それを全体でみるとキッチリはまらない。人々のキャラクター、過去状況は鮮明であるが、それを組み合わせても釈然としない。その空白のような感覚を”余白”か”隙間”で捉えれば、”余裕”と”理屈”に分かれるかもしれない。ストーリーを重視すれば、隙間は理屈で埋めたくなる。しかし、この劇団の謳いは、「いろんな演劇スタイルを混在させたまま一つの作品」としている。敢えてのパフォーマンス劇。その演出...衣装は全員ツナギ、道具はパイプ椅子のみの素舞台。

    この芝居の素晴らしいところは、それでも結末の方向によっては喜劇が悲劇(心療内科的)に変る可能性があること。そこに懐が広く深いものを感じる。案外、喜劇が奇劇で、悲劇が飛劇かもしれない。
    出来れば、”パフォーマンス”という身体性で観(魅)せるだけではなく、そこに社会性などとあまり堅いことは言わないが、印象付くようなものがあると...。
    梗概は、結末を含め、再々々再演があるかもしれないため割愛する。知りたければ劇場へ。

    最後に、今回は出演していないが、劇団員の上野みどりサン始め、制作スタッフの対応が親切、丁寧であり気持よい。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2015/12/23 10:03

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大