イエドロの落語其の参 再演!! 公演情報 イエロー・ドロップス「イエドロの落語其の参 再演!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    覚悟
    10月の「其の参」から2か月半、あえて畳みかけるように再演する意義は何か?
    それが観たくて行ったのだが、元ネタの落語を忘れさせる弾け方が秀逸。
    庶民の下世話な価値観と勢いが落語の身上だと思うが、それを上手く生かした
    新しいストーリーが疾走するように展開する。
    同時にシュールな展開に哲学があって一緒に立ち止まって考えさせる。
    わかばやしさん、明と暗、悲と喜、哀と愛のメリハリが素晴らしい。
    さひがしさん、あなたのお尻に覚悟のほどを見ました。

    ネタバレBOX

    八幡山とよく似た会場が何だか懐かしい雰囲気。
    かつ丼女から品川心中の後、新たな2つのエピソードを挟んだことで
    古典落語の枠を完全に離れ、パラレルワールドのイメージが豊かになった。
    「女郎でない人生」に思いをはせるお染の思索がリアルになったと思う。

    案山子の師匠とのやり取りも膨らみが増した。
    あの案山子の顔、前回は案山子の真下の席だったので見えなかったが、
    あの時も「へのへのもへじ」の口が動いたの?
    今日師匠の顔を見てびっくりした。
    とても良く出来ていて楽しい。                        

    わかばやしさんの台詞と表情にメリハリがあり、お染の行き詰まった人生と悔しさ、
    身勝手な行動とその後の“選択しなかった人生”を思う表情の深さが素晴らしい。
    ご都合主義の庶民感覚が笑いを呼ぶ落語のポイントを、テンポよく切り替えて魅せる。
    冒頭のカツ丼女から心中場面、やがて記憶が戻るまで、鮮やかな切り替えが見事。

    さひがしさんは受けに回ってその切り替えを受け止める。
    息の合ったダンス(?)とついでに追剥がれでふんどし1本になるあたり、
    ニートの金蔵の性格そのままと見せて、時々過激に仕掛けてくる。
    表現として既に確立している落語を超えるためには、
    ある程度の過激さが必要なのではないかと思う。
    それにしても「ニートの金蔵」のお人よしキャラは素晴らしい。

    物語コーディーネーター末原さんの力と、さひがしさんの覚悟がかみ合って
    元ネタが気にならない、新しいストーリーが生まれた感じ。
    客席で“顔を作る”のも“ヅラを忘れる”のも演出のうち、
    と見せるのがまた良し(笑)
    次回も楽しみにしています。


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    2015/12/20 23:47

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