クリスマス解放戦線 公演情報 渡辺源四郎商店「クリスマス解放戦線」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    バブル風味の運動ソース、禁欲のカルト添え
    設定が明快でスパイスが効いた現代風刺・近未来劇。現実離れもここまで行っちゃ・・と突っ込み入れるも一々人間(社会)のウィークポイントを穿ってるからその風刺に笑って見進めれば、最後にはしっかりとオチが。達つぁんの「クリスマスイブ」がプロテストソングとは、これ如何に。。あり得なくもない話に思えてしまっているのが、不思議である。

    ネタバレBOX

    クリスマス禁止令がバブル期を頂点に見られた日本人の「醜悪」を理由として発布され、権力による監視体制も厳しい。これにささやかに抵抗しているグループがある。そのリーダーの自宅(?あるいは拠点)でクリスマスイブの日、クリスマスを祝う、というイベントをやろうとしており、全国の大学サークルに散らばっているメンバー達が集ってくる。が、やって来るメンバーは先輩から引き継いで来たという者(その先輩はもう就活で続けられないとか、先細りの雰囲気も少々)や友達と名乗る者もいる。ツリーはT、モールはM、などの暗号で指示をしあい、ドアの外で合言葉を言ったりする。さて集まった中にスパイがおり、摘発となるが、そこへ武装グループの救助の手が入る。しかし彼らはサンタクロースが実在すると信じるカルト集団であった。禁欲という点において管理社会と彼らの教義は志向が重なるが、カルトのほうが非科学非合理にみえ、しかし権力の向かう方向を支持するわけにも行かない。大学を留年しまくってる主人公の男は、そのどれにも屈せず与せず、ただひたすら、(サンタも信じず)ツリーの電飾と音楽の中でロウソクを立てたケーキをカットして食べ、好きな人にプレゼントを渡すという、言わば「企業戦略にまんまと乗っかった」ようなクリスマスを守ろうとしているのだ。このノンポリさ加減は普通なら侮蔑の対象にさえなりそうだが、彼はそこにだけこだわる。その強いこだわりの理由が、芝居の冒頭、闘争の最前線へと上京して行った前のリーダー(女性)との事に発していることは観客は周知だ。が、ラストはふいに訪れる。嵐が吹き荒れた後、彼が一人残ったその部屋に、10年前別れたその元リーダー、あの日プレゼントを渡しそびれた彼女が戻ってくる、冒頭で交わした合言葉を言って・・。そこで交わされるのは、彼女の近況報告(夫がおり今妊娠している)と男の簡単な現状報告。静かな会話の「間」に青春の初々しさがゆったりと流れ、やがてさよならとなるが、彼女を呼び止めた主人公は、10年越しのプレゼントを箱から取り出し、次々に渡す。恐らく、毎年用意していたのだろう(笑)。・・・そんなささやかなクリスマスの時間のような平和を奪うものはすぐそこに近づいているのかも知れない。

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    2015/12/14 02:28

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