【『比丘尼』全公演終了しました。御来場、誠にありがとうございました!】 公演情報 殺陣集団 伽羅牡丹「【『比丘尼』全公演終了しました。御来場、誠にありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    矛盾願望の物語
    人間の願望である「不老不死」、そうなったが故に悩む「死にたい」という矛盾した願望が生まれる。限りある命だからこそ、愛しく尊いと感じることが出来る。物語としては、細部を描くことに流されることなく、大きく普遍的なテーマについて伝説も絡めて描くなど創意が感じられる。
    一方、ストーリーを重視しているため、光景にみる不思議な雰囲気を表しきれていないのが残念であった。

    ネタバレBOX

    鎌倉時代末期。白拍子の中に椿という名の女が一人。 ある日、貴族の屋敷で舞い褒美として人魚の肉(不老不死)を馳走になった。 それは呪いの始まりで、 傷ができてもすぐに癒え、雨が降る度人魚が仲間にするため襲いに来る。 人魚を避けての生活が何十年。 老いることなく生きる女の願い、それは 「人として死にたい」と...。延暦寺・不動明王の剣で呪詛を断ち切れか。

    公演は丁寧な制作であるが、上手くまとまりをつけるような面も見受けられる。脚本は、各地にある伝説をうまく取り入れ、細かい時代考証がし難い鎌倉時代に設定し、フィクションとしての物語に引き込むよう工夫している。
    殺陣集団を標榜していることから、その演技・技術は高いレベルが求められる。また人の矛盾した内面表現に腐心していたようだ。公演に対する真摯な姿勢に好意を持つが、その描きこみが表層的であったと思う。
    具体的には椿(伊藤愛サン)の心の葛藤が観えないのが惜しい。もう一つ、殺陣シーン...「人魚」が襲う意味が芝居の中では説明不足。人魚の”肉片”を食べたことに対する報復にもとれる。一応仲間にするという同化のようであるが...。

    最後に、自分が観た回は、椿・伊藤愛さんの声がかすれ、最前列にいたにもかかわらず聞き取り難くなったのは残念であり、気の毒でもあった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/12/13 00:44

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