その王国の夜は明けない 公演情報 シアターノーチラス「その王国の夜は明けない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    働くとは...問い直し
    ”働くことは”を命題にしたような喫茶店の話。この喫茶店を王国になぞらえて動く群像劇のような...なぜか某国の経済危機を想起するようなシュールな展開は、日々の仕事の中で、いつも何のために誰のために働くなど強く意識していないと思う。意識の確認は、何らかのキッカケがあって行うと思う。その契機が...。

    ネタバレBOX

    いつもある職場が無くなるという衝撃宣言。今まで”働く”を通じて自分自身の生きがい、生活のあり様を顧みる。働くは、人の暮らしの糧を得ると同時に、その存在の意義でもあろう。日々変わらぬ日常が、一瞬にして非日常に追いやられる恐怖と滑稽さがしっかり描かれる。人は過酷な状況に直面すると理性より感情が勝るようだ。

    梗概は、従業員全員に対し早朝出勤するよう連絡があり、オーナーからこの喫茶店を2週間後に閉店する旨告げられる。働き場所を失うことになった従業員...その途端、各自が抱えている状況が次々明らかになり、また人間関係の蟠りや桎梏が吐露され右往左往する。当たり前にあった場所(職場)がなくなる。多少デフォルメしているが、どこにでも居そうな人々。そして世間的には大した事件でもなく、という日常空間・時間の綻びであるが、その行間の中で必死に生きている人々の呻きがコミカルに描かれる。この個々人のキャラクターの確立、生活環境・状況を明確にしているから面白い。

    なぜか、ギリシャ経済危機(2009年10月以降に始まる一連の危機)を想起した。ギリシャは、緊縮財政等の厳しい改善に努めてきたが、一方で景気は落ち込み、国民の生活はさらに苦しくなり、大規模なデモや暴動が頻発した。公演にもあった蜂起騒動がその状況を連想させる。国家でさえ危機に陥る時代、働かされているという受動的姿勢では生きられないという教えと、自立しての夢追いの両方を問いかける。教訓臭ではなく、あくまでドタバタコメディという観せ方の中にしっかり主張する、見事な公演であった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/12/13 00:39

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