わかれ道のリテラシー 公演情報 9-States「わかれ道のリテラシー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    過去と現在の相互俯瞰
    過去と現在が交錯する「ホテル・ラポール」での出来事。人生には転機となるような分かれ道がある。何を持って成功・失敗と決めつけるか、その時の判断の良し悪しは、その後の結果に現れる。ifのタラ・レバを引きずるようであれば、自分は回顧の日々に埋没してしまいそう。

    真面目に生きてきたと思っていても理不尽な目にあう。悔しさを飲み込みこめない人々。それでも不器用に今を生きる人々を静かに見守るホテル・ラポールとその主人(斜に構えた)の雰囲気がよい。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、ホテルのBarカウンター(ボトルが何本か見える)であろう。少し暗く寂れた感じがする。市松模様の絨毯、そこにアンティークランプのような照明…その雰囲気が灰の底で輝くダイヤモンドのようで、その先に希望が...。
    終盤の台詞~「今と未来のボクを覗けたら」「死ぬ間際に見る夢という走馬灯」が印象的だった。

    そこに宿泊している人々、なぜか本名ではなく通称で呼び合う。その様子や雰囲気が、人を拒み不器用に今までを何となく生きてきた、そんな惰性・妥協を感じさせる。
    そこでの会話、生きる理由は何か? その観念的とも思える問いかけは、もちろん物語の展開でもあるが、観客への問いかけでもあろう。その描き方があまり現実的にならないよう、少し“ズレ”や“歪み”を加えることで面白みを出している。物語の軸は、話をする人の間で移り、緩く揺れながら大きな渦を形成していく。
    そして、物語の中に織り込まれていた偏執的な愛、その先にあるストーカー行為とその結末に繋がる。無関心な人達と異常に興味を持った男の対比は、生きて死しているか、殺してまで...。シュールにして慈愛に満ちた物語。
    役者の演技も安定しバランスも良く、思わず観入ってしまう素晴らしさ。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/12/13 00:37

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