宮地真緒主演  「モーツアルトとマリー・アントワネット」 公演情報 劇団東京イボンヌ「宮地真緒主演 「モーツアルトとマリー・アントワネット」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    よくわかるフランス革命
    次第にクラシックが本格的になり、大変充実して来たのは良いが、
    その分芝居の方が軽くなった印象を受けた。
    マリー・アントワネットのキャラと悲劇性が弱く、肝心な
    “モーツァルトの音楽に救われた”感が薄いのが残念。
    また、マリー・アントワネットぐらいは結婚後衣装替えがあっても良かったのでは?
    囚われの身になって初めて夫ルイ16世と心を通わせるシーンはとても良かった。
    神様役の吉川拳生さんが登場すると舞台が引き締まる。

    ネタバレBOX

    開演前のミニ・コンサートで、客席には豊かな歌声が流れている。
    ロビーの花の香りと共にクラシックコンサートの華やかさが伝わってくる時間。
    電子機器の電源OFFを歌で促すなどの工夫も楽しい。
    舞台は奥に向かって階段状に高くなり、一番高いところにオーケストラが控えている。
    舞台手前上手側にピアノが置かれている。

    神の子モーツァルト(石井康太)は自信家である。
    「自分の音楽で人間世界を変えてやる」と父である神(吉川拳生)に宣言、下界へと下る。
    彼の音楽は熱狂的に受け入れられるが、やがて貴族や大衆、同業者ら世間の
    気まぐれな感情に翻弄され、次第に疲弊していく。
    そんな彼が出会ってすぐに愛したのが、あのマリー・アントワネットであった。
    叶わぬ恋ながら、モーツァルトは彼女の悲劇的な運命を見守ることになる…。

    挿入されるクラシック音楽が素晴らしく、物語がおまけになりそうな迫力。
    その中でモーツァルト役の石井さんは頑張っていたと思う。
    メリハリがあり、笑いのタイミングも良い。
    ピアノを弾くシーンなども、シンプルながら良く工夫されていた。
    神役の吉川さんが素晴らしく、ラスト「過ちを繰り返す人間をそれでも許す」と語るところは
    舞台が引き締まるような台詞だった。

    ちょっともったいなかったのは、マリー・アントワネットの影が薄かったこと。
    宮地真緒さんは素のままの髪型で衣装替えも無かった。
    “作らない”設定はもちろんありだが、クラシックの方々のいで立ちと迫力に
    負けないだけの“生まれながらの王女”感があれば、さらに悲劇性が高まったと思う。
    清楚で華奢なだけでは“知らなかった”と泣き崩れる説得力が弱い。
    ルイ16世(鈴木貫大)との最期の別れは、不器用な人間の哀しさ切なさが伝わったが、
    マリー・アントワネットの“寂しい豪遊”がもう少し丁寧に描かれていたら、
    さらに高まっただろう。

    鈴木さんのルイ16世、最後の最期に彼の特技を生かす場面が出来た、
    その誇らしさと哀れさが伝わって来てとても良かった。

    クラシック音楽と演劇の融合は難しい。
    “クラシックだけよりストーリーが豊かで楽しい”とか
    “芝居の中に本格的な歌が入って違和感がない”とか
    そんな風に双方のファンから支持されるようになったら良いと思う。

    福島さん、お身体に気をつけてまた素晴らしい“融合”を見せてください。

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    2015/12/10 03:32

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