汗と涙の結晶を破壊 公演情報 綾門企画「汗と涙の結晶を破壊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    この作品は・・
    「面白さ」を評価する作品じゃないのかもしれない。

    ・・というのも美大の作品なんかをたまに見たりすることがあるんだけど
    ここに出てくる登場人物と全く同じといって良い学生たちを(作品の中に)見付けた記憶が何個もある。

    ネタバレBOX

    ただ、この作品を見てみて現実と多少違うんじゃないかと思えることは、
    現実の人間たちはそれほど「目立とう」と渇望してはいないんじゃないかってことくらいで・・

    それが若さゆえの青さなのか、作品を作り人目に晒すごとにどんどん自分の才能の無さを自覚するのと反比例して人に認められたい欲求が爆発し始めるからなのか。

    それは分からない。

    ただ、多くの場合才能のない(と自覚している)人ほど認められたいという欲望があとあとになって爆発してしまうのを良く見かける(ように思う)。

    それは何でなのか?

    この作品にはほんの少ししか触れられていないけれど、
    「人に認められる」ということはそれほど蜜の味のするものだからなのかもしれない。

    人に認められることを期待しないで作り始めたものなのに、
    ほんの少し人に認められただけで舞い上がる経験をした人は多いように思う。

    ひょっとしたら自分は才能があるのかもしれない。

    ただ現実はそれほど甘くは無く、そんな風に自問自答している時点で天才からは遠く、本当の天才は現れた瞬間に既に疑いようもなく天才で、瞬く間に栄光の階段を駆け上がるか精神病院に送られるか(この場合は一生出てこれない)ということが多いように思う。

    この世には下らない賞が多すぎる、ということをこの作品は言いたいのかもしれない。

    なんで下らない賞があるのかと言うと、中途半端な才能しかない審査員たちが自分たちより少し才能のない候補者たちを縛り上げてすくみ上がらせて影響力を少しでも長続きさせるためにあるんじゃないか、とも思えなくもない。

    この物語の主人公は、作品を作る才能には恵まれていないが、母親や死んでしまった親戚のおじさんに愛される才能には恵まれている。

    それが妹には眩しい。

    主人公は自分のその才能には気づいていない。

    才能は乏しいものの作り続けられるクリエイターにはこのパターンが多いのかもしれない。

    でもそれも良いと思う。

    常に圧倒的な世界観を突き付けられた作品が立ち並ぶよりも、
    ほんわかした作品、作者の人柄が目に見える作品も悪くないのかもしれない。

    それが欧米に比べて著しく多い日本の舞台芸術作品の数につながるのだとしても。

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    2015/11/30 02:17

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