ときのものさし 公演情報 HOTSKY「ときのものさし」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    心が揺さぶられる珠玉作
    初見の団体...「介護」という説明文に興味を持って観たが、滂沱した。観る年齢層によっても捉え方に差があるかもしれないが、人はいずれ老いる。その時までどう生きるか...この公演でも特別な出来事は起きない。ただ坦々と日常の生活が...しかし、だからこそ身近で味わい深いものがある。

    芝居の魅力は波瀾万丈か、虚実皮膜の世界を描くだけではない。その物語性も大切であろうが、芝居の丁寧、細密にもその魅力を感じる。本公演は言葉に力強さがある。その輝く台詞が公演全体を覆いつくし観る者の心を揺さぶる。
    なお、認知症が進むと言葉が少なくなるが、そこに演出の工夫が…。

    ネタバレBOX

    介護施設「緑風荘」にいる母は認知症が進み、息子や嫁、孫の名前まで忘れがちである。自分の思いは、「後悔先に立たず」という諺があるが、本当にそのとおりであると実感した。認知症になると会話が著しく困難になり、意思相通が難しくなる。公演では「こえ」という役柄があり、無音になる芝居を観(魅)せていた。

    また、公演の構成の巧みさに感心させられた。約60分という短い上演時間を前半・後半に括り分け、その前半...心の彷徨は、既に故人となっている離婚した夫、実妹に向けられる。その会話は方言や標準語が交わり愛らしく聞こえる。丁寧な展開の中に深い思いやりが見てとれる。今になって言える、または聞かされる本音の数々。”生きてきた”という実感がこもる。
    後半...実の息子夫婦との関係は、自分の覚束ない記憶への諦め、苛立ち、息子への気遣いが痛いほどわかる。親密(親子)であれば向き合いたくない現実がある。その突き放したような描写が切ない。

    この”夢・現”で繰り返し呟く言葉...胸の中で自分の支えとなる「しょうがないね~」は、”自分を許すお守り””大事な人を安心させるおまじない”という。慎ましやかな響きは、彼女の人間性をしっかり印象付ける。

    最後に「認知症は、英語でロンググッドバイ」というそうだ。長い別れであるが、大切な思い出もたくさん残してくれた。そんな余韻を感じさせる見事なラスト。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/11/22 23:21

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  • 知恵子さま

    タッキーと申します。
    この度はチケットプレゼントありがとうございます。
    また、コメントまでいただき恐縮です。

    拙文ですが、追記をさせていただきました。
    ご笑覧下さい。

    次回公演も楽しみにしております。

    2015/11/24 19:46

    ご来場いただきありがとうございました!
    年1回のペースで公演を行っております。また是非お越しください。

    2015/11/24 10:38

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