ブルーシート 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「ブルーシート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    存在の重み
    偶然性を取り込んだり、誘発する演出が素晴らしかった。
    そして何より、いわき総合高等学校の卒業生・学生の存在が素晴らしかった。

    ネタバレBOX

    ラストでひとりの生徒が「逃げて」と叫び続ける場面がある。
    全力で叫ぶ声は回数を重ねるごとに徐々にかすれていく。
    その声のかすれの中に、とても切実なものを感じた。
    彼ら・彼女らの存在を。
    (過度な動きを強いることで、そこからはみ出す出演者の身体がその存在感を更に重くしていたとも言えるだろう。そういう演出はこのシーン以外にも、色々あた。)

    隣の学校からの声が聞こえてきたり、鳥が校庭の周りを飛んだり、奥の道を通る車や人の姿が見えたり、時間の変化と共に太陽の光が変化し、肌に感じる体感温度も変わったりなど、その環境が作品に様々な色彩を与えていた。
    と同時に、その環境によって、これがお芝居でありながら、現実そのものでもあるということも常に意識させられた(異化効果)。
    虚構と現実が二重になったものとして舞台を観つづけたということ。

    また、何度も繰り返される(うろ覚えで申し訳ないが)
    「それは人間のようで人間でない。それ以前のもの。」
    「人は見たものを覚えることができる。そして、見たものを忘れることができる。」
    というような言葉の意味が、作品が進む中で、その印象が変わって感じられていったのも素晴らしかった。

    最後の場面で、すべての芝居の意味がひとつに集約されつつ、同時に物語の外に向かって拡散していったのも素晴らしかった。

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    2015/11/15 20:27

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